三優監査法人グループで財務やリスク管理のアドバイザ業務を行うBDOアドバイザリーは2010年1月25日、マネジメントシステムに関するコンサルティングを提供するバルクと提携したと発表した。J-SOX(日本版SOX法)対応で実施する内部統制の有効性の評価業務を支援するコンサルティングサービスを提供し、「最終的に外部監査費用の削減につながるようにしたい」とBDOアドバイザリーの安田秀志事業開発部長/公認会計士は説明する。

 コンサルティングサービスでは、エージーテックが販売する監査用のデータ分析ツール「ACL」を利用して、間違いや不正といったリスクの高い業務プロセスを分析し、対処方法などを顧客企業にアドバイスする。会計や販売といった財務報告関連のシステムに蓄積したデータをACLで分析することで、「同じ商品を扱っているにもかかわらず、特定の部門だけ利益率が非常に高いので架空取引の疑いがあるのではないか」「1社だけ特別な原価が計上されているので、原価を付け替えているのではないか」といったリスクが発見できる。

 リスクの高い業務プロセスを事前に発見できることで、「キーコントロールの絞り込みが可能になる」と安田部長は説明する。「最終的には伝票などの書類との照合が必要だが、評価作業の対象範囲を絞ることができ、評価作業の負担が軽減する」と安田部長は話す。加えて「ACLを利用することで全件のデータを分析できる。手作業でサンプルを抽出するよりも評価結果の信頼性が高くなるというメリットもある」(安田部長)という。

 BDOアドバイザリーは、リスクを発見するだけでなく「リスクの対象方法なども顧客企業にアドバイスするサービスを提供する」(安田部長)。別途、顧客自身がデータ分析をできるように、分析のシナリオを作成するサービスも用意している。シナリオは「架空取引」や「規定準拠違反」といった具体的なリスクを想定し、データ分析の結果をどういった基準で判断すれば、リスクの発生確率が高いかを示したものだ。

 ACLを使えば、売り上げや販売、売掛金、買掛金といったデータを分析できる。データをCSV形式で取り出せるので、ERPパッケージ、自社開発といったシステムの形式を問わずACLのデータとして利用できる。ACLは、受注データから受注先別の売上高や原価実績データを作成したり、部門別に財務報報告関連のデータを集約する機能を備える。

 BDOアドバイザリーはACLを利用した顧客企業へのコンサルティングを担当、バルクは営業企画を担当する。バルクの内藤裕之取締役は、「当社がJ-SOX対応支援をした企業を中心に売り込んでいきたい」と話す。費用は200万円から。データのボリュームや企業規模によって費用は異なる。