IFRS(国際会計基準)強制適用(アドプション)の課題解決に取り組む「IFRS対応会議」は2010年1月22日、「非上場会社の会計基準に関する懇談会(仮)」を設置すると公表した。日本基準とIFRSのコンバージェンス(収れん)が進み、2015年にもアドプションが始まるという状況の中で、非上場会社の会計基準のあり方を検討するのが狙い。懇談会は「早急に設置する」としており、数カ月以内に始まるとみられる。

 懇談会の設置は、1月22日に開催された「第4回 IFRS対応会議」での提言を受けたもの。非上場会社は上場会社と比べると、事業形態や財務報告に対するニーズが異なる面が多い。非上場会社の特性を踏まえた会計基準のあり方を検討することが緊急の課題であるとしている。

 メンバーとして中小企業関係者や学識関係者に加えて、日本商工会議所、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本経済団体連合会、企業会計基準委員会などが参加する予定。ほかに法務省、金融庁、経済産業省、中小企業庁、東京証券取引所がオブザーバーとして参加する。

 IFRSを策定しているIASB(国際会計基準審議会)は2009年9月に、中堅・中小企業を対象としたIFRSであるIFRS for SMEs(International Financial Reporting Standards for Small and Medium-sized Entities)を公表している。懇談会でIFRS for SMEsの採用について検討する可能性もあるが、企業会計基準委員会(ASBJ)の関係者は「懇談会では日本基準に関する議論が中心になるのではないか」とする。

 日本でのIFRS適用のロードマップを示した「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」では、中堅・中小企業に対するIFRSの適用について「ニーズは低いと考えられ」、「体制整備や準備の負担を考えると、非上場企業へのIFRSの適用は慎重に検討すべき」としている。