文部科学省は2010年2月にも、国民に向けて国策の次世代スーパーコンピュータ事業の説明会を開催する検討に入った。同事業について、政府は事実上の凍結判定を翻して継続とする条件の一つに、「国民の理解」を掲げているため。説明会を通じて、国民にスパコンの有用性を訴えかけていくとともに、国策スパコンに対する各種批判などにも対応していく。

 説明会は複数回に分けて実施する計画。スパコンの利用者や専門家に限らず、広く一般の国民に向けて実施する。専門家向けの説明会についても別途、検討する。政府がスパコンに対する国民の理解が低いと判断したことから、スパコンがどのような計算機であり、どのような用途に使われ、具体的にどのような成果をあげてきたかなどを分かりやすく説明する。説明会の形式の詳細については、今後詰める。

 昨年末に行われた無駄な来年度予算を判定する「事業仕分け」では、世界最速にこだわることやシステム構成で重大な変更点があったこと、価格性能比で国際競争力に劣る──など有識者から計画の見直しが必要であるとの指摘もあった。また、事業仕分けの指摘に対する十分な反論もなく、事実上の凍結判定が翻り、政治判断で予算が復活したとする声も聞かれた。

 政府は、国民の理解を得た上で利用者視点に立った世界最速レベルのスパコンを開発することを、予算復活の条件としていた。

 文科省は説明会などでスパコンに対する国民の理解を深めた上で、近く実現に向けて動き出す可能性がある次々世代の国策スパコンのプロジェクトにもつなげていきたい考えだ。