米Amazon.comは米国時間2010年1月20日、同社の電子出版サービス「Kindle Digital Text Platform(DTP)」で、作者や出版社に支払うロイヤルティを70%に引き上げるオプションを用意すると発表した。米国の利用者が、6月30日から新しいロイヤルティを選べるようになる。この70%というロイヤルティは、米Appleがアプリ販売サービス「App Store」で設定している作者への還元率と同水準。なお、現在のロイヤルティは35%である。

 Kindle DTPは、一般のユーザーや作家、出版社など、誰でも無料で利用できるセルフ・サービス型の電子出版サービス。パソコンでサービスのWebサイトにアクセスし、コンテンツをアップロードすると、電子書籍リーダー「Kindle」用のコンテンツとしてECサイト内の「Kindle Store」で販売される(関連記事:無料電子出版サービスKindle DTPが英、独、仏で利用可能に)。

 新たなロイヤルティでは、販売価格からコンテンツの配信コストを差し引いた残りの70%を受け取れるようにする。配信コストはコンテンツの容量1Mバイトに付き15セントで、平均的なコンテンツのサイズ(368Kバイト)では約6セントになる。例えば8.99ドルで販売されるコンテンツの場合、これまでの3.15ドルの約2倍にあたる6.25ドルを受けとれることになる。「紙の書籍で作者が受けとる印税は7~15%、また電子書籍の場合、出版社は小売業者から25%のロイヤルティを受けとってる。新たなオプションはこれを大きく上回る」とAmazonは説明している。

 新ロイヤルティは当初米国で販売されるコンテンツのみを対象にする。また適用するにはAmazonが設定する条件を満たしている必要がある。販売価格は2.99~9.99ドルの範囲内、同じタイトルが紙の書籍で販売されている場合はその最安値の8割以下にしなければならない、といった条件を設けている。

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