米司法省(DOJ)は米国時間2010年1月13日、米Amazon.comの「Kindle DX」をはじめとする電子書籍リーダーの使用を奨励しないことで3大学がそれぞれ合意したと発表した。全米盲人連合と米国盲人委員会が苦情を申し立てていたもので、障害を理由とした差別を禁じる「障害を持つアメリカ人法(ADA:Americans with Disabilities Act)」に基づいた措置。

 今回合意したのはケースウエスタンリザーブ大学、ペース大学、リードカレッジ。3大学は、Kindle DXなどの電子書籍リーダーが視覚障害者にとって使いやすい機能を完備するまで、購入や推奨を控える。また電子書籍リーダーを使用する場合は、視覚障害を持つ学生が、健常者と同様の教材と情報にアクセスし、交流に参加し、同じサービスを同様の使いやすさで利用できることを保証するとしている。

 Kindle DXの現行モデルにはテキスト読み上げ機能が搭載されているが、メニューやナビゲーションを音声で示す機能は付いていない。そのため、視覚に障害がある学生にとって、ブラウザを立ち上げて読みたい書籍にアクセスするなどの操作はたいへん困難だ。

 司法次官補のThomas E. Perez氏は、「技術の進歩は大学での教育手段を体系的に変えつつある。しかしそれは、障害を持つ学生にも他の学生と同じ機会の提供を保証するものでなければならない。各大学との合意は、すべての人々に完全で平等な教育機会を与えることの重要性をあらためて示している」と述べた。

 Amazon.comは現在、Kindle DXの教室での実用性をテストするパイロット・プロジェクトを実施しており、3校を含む複数の大学が参加している。DOJと各大学との合意はプロジェクトが完了した時点で有効となる。またアリゾナ州立大学も1月11日に同様の合意に応じている(関連記事:視覚障害者擁護団体、電子書籍リーダー「Kindle DX」導入でアリゾナ州立大を提訴)。

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