エルザジャパンの節川茂久取締役は「PCoIPを使えば、RDPではできなかった仮想シンクライアント環境を構築できます」と述べる。2009年末からリモート環境用のデータ転送にRDP以外のプロトコルを採用する製品が続々登場している。エルザジャパンの節川取締役が述べる「PCoIP」もそのプロトコルの一つだ。

 PCoIPは、カナダのテラデシ社が開発したリモート環境用のデータ転送プロトコル。低帯域でも画面の粗さが目立たせないのが特徴で、クライアント側の見た目の良さを“売り”としている。米ヴイエムウェア社が2009年11月に発表した、仮想シンクライアントを構築できる「VMware View 4」で採用されたことから、急速にPCoIPを利用できる環境が整いつつある。

 元々PCoIPは、専用のハードウエアを使い、3次元グラフィックスワークステーションや医療分野で画像をリモート処理するために開発された。ヴイエムウェア社はテラデシ社と協力して、PCoIPの処理をソフトウエアで処理できるようにした。それがVMware View 4である。

 エルザジャパンは、専用ハードウエアを使ったPCoIPの端末を販売している。VMware View 4の登場をきっかけに2009年12月、端末をVMware Viewのクライアントとして利用できるようにするファームウエアを公開。1台の端末で仮想シンクライアント環境と、3次元グラフィックスワークステーションへのリモート環境を切り替えて使えるようにした。

 RDPに代わるプロトコルとしてはPCoIPのほかに、米レッドハット社が2008年に買収した米クムラネット社開発の「SPICE」がある。レッドハット社は、2009年12月からSPICEをオープンソースとして公開した。SPICEを同社のサーバーOS「Red Hat Enterprise Linux」と組み合わせて仮想シンクライアント環境を構築する製品が2010年前半に発売される見込みである。