写真1●クラウドコンピューティング事業を統括する日本IBMの吉崎敏文執行役員
写真1●クラウドコンピューティング事業を統括する日本IBMの吉崎敏文執行役員
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●日本IBMのクラウド事業推進体制
写真2●日本IBMのクラウド事業推進体制
[画像のクリックで拡大表示]

 日本IBMは2010年1月14日、クラウドコンピューティングに関する事業戦略説明会を開催した。同事業を統括する吉崎敏文執行役員(写真1)は、「企業向けクラウド製品やサービスを、当社はほぼすべてカバーしている。今年も続々と発表していく」と意気込みを表明。同事業を推進する人材育成に5年で100億円を投じると同時に、「クラウド・スペシャリスト」と呼ぶITエンジニアを1月中に300人そろえると宣言した。

 IBMはクラウドコンピューティングを「インターネットサービスに影響を受けたITサービスの利用と提供の新しいモデル」と定義。仮想化、標準化、自動化という三分野の技術開発や製品開発、サービス開発に取り組むとしている。

 この方針に基づく事業を推進するため、同社はこの1月に社長直属のクラウド事業統括組織を設立した(写真2)。同組織には「Team Cloud」と呼ぶ専任チームを置く。Team Cloudのメンバーであるクラウド・スペシャリストは「クラウドに関するスキルや技術、ビジネス知識の社内研修を修了して、当社のクラウド製品やサービスを顧客に届けられる人材」(吉崎執行役員)。1月中にクラウド・スペシャリストを300人まで増やすほか、日本IBM全体でも3月中に1000人に、クラウド関連の教育を施す。

 同組織には、専任の最高技術責任者(CTO)も設置。基盤技術部門であるグローバル・テクノロジー・サービス事業部で技術理事を務める山下克司氏を、CTOに任命した。

 日本IBMは今年、クラウド関連と銘打った製品を相次いで発表する。デスクトップ端末の環境をネット経由で提供する「パブリックデスクトップクラウド」、情報システムの開発やテスト環境を容易に構築できるようにする「パブリックテストクラウド」、サーバー処理能力を貸し出す「コンピュートクラウド」、データ保存容量を貸し出す「プライベートストレージクラウド」などを予定している。