米Microsoftは2010年1月11日(米国時間)、裁判所からの命令に従い、オンライン販売サイトやMSDN/TechNet会員向けサービス、さらに評価版をダウンロード提供していた「Microsoft Download Center」でオフィス・プロダクティビティ・スイート「Office」の取り扱いをやめた。ご存じのようにMicrosoftは、Officeに含まれるワープロ・ソフトウエア「Word」でカナダi4iの特許を侵害したという判決を下された。判決のなかで裁判所は、1月11日以降Wordの販売を停止するようMicrosoftに命じていた(関連記事:控訴審でも「Word」販売差し止め判決、Microsoftは該当機能の削除で対応)。

 Microsoftはこの判決が出た当時、「期限の1月11日までに、市場に出回っているWordおよびOfficeを(問題のないバージョンに)交換できる」としていた。ところが間に合わなかったのだ。

 Microsoftの声明文には「判決に従うための作業を実施し、米国用の修正版ソフトウエアをリリースする予定だ。ほとんどのユーザーはこの変化に気付かないだろう。すぐに修正版ソフトウエアを発売するが、試用できるようにもする」とある。同社によると、オンライン販売サイトなどでの取り扱い停止は一時的なもので、近いうちに復活させるという。

 すでにMicrosoftは、Word 2003/2007ユーザー向けにソフトウエア・アップデートをリリースした。このアップデートを適用すると、ほとんど使われていない小さな機能にかかわる特許侵害とされたコードをWordから取り除ける。同社は、Macintosh用Office 2004/2008は命令の対象になっていないが、同様のコード削除を実施するとしている。

 Microsoftはこのi4iとの係争において、再審理を実施するようあらためて控訴裁判所に求めた。同社は「(2009年)12月22日に下された判決は、審理手続きおよび被害認定にかかわる確立した判例と大きく矛盾しており、要請書ではこの点を詳細に指摘した。当社は、今回の判決が将来の特許関連裁判において適切な安全装置となるべき裁判官の権威を損ないかねないと懸念している」と述べた(関連記事:MicrosoftがWord特許侵害訴訟を巡り、再審理を請求)。

 もしこの要請が退けられた場合、Microsoftには米連邦最高裁判所に上告するという道も残っている。