写真1●レノボ・グループが披露した「Skylight」
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写真2●HPがクアルコムと開発中のスマートブック
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写真3●クアルコムが試作した電子書籍
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写真4●胸部に超音波スキャナを押し当てるウエスト・ワイヤレス・ヘルスケア・インスティテュートのエリック・トポルCMO
写真4●胸部に超音波スキャナを押し当てるウエスト・ワイヤレス・ヘルスケア・インスティテュートのエリック・トポルCMO
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 中国のレノボ・グループが,2010年1月8日(米国時間)にネットブック「Skylight」を発表した。「2010 International CES」の米クアルコムのポール・ジェイコブスCEO(最高経営責任者)による基調講演にゲストとして登場したレノボのヤン・ユァンチンCEOが披露した(写真1)。

 Skylightは,クアルコムのマイクロプロセサ「Snapdragon」を搭載することで最大10時間の長時間利用を可能にした点が特徴。クアルコムのブースでも展示しており,「ネット利用に特化して開発した」(レノボの説明員)という。例えば,コンピュータを閉じた状態でも電子メールだけは受信し続けるといった機能だ。

 ジェイコブスCEOの基調講演では,Skylight以外にも新しいカテゴリのモバイル製品を披露した。ネットブック関連では米ヒューレット・パッカード(HP)のトッド・ブラッドリーEVP(上級副社長)が登場,両社が共同開発中の「スマートブック」を紹介した(写真2)。Snapdragonと,米グーグルのソフトウエア基盤「Android」を搭載する。こちらも長時間のバッテリー駆動が特徴で,ブラッドリーEVPはSnapdragonの搭載でネットへの常時接続と端末の薄型化が実現できることを強調した。

 同じくゲスト出演した台湾HTCのピーター・チョウCEOは,前日のクアルコムの記者会見(関連記事)で紹介したスマートフォン「HTC Smart」を見せた。クアルコムのソフトウエア・プラットフォーム「Brew Mobile Platform」を採用,スマートフォン市場の拡大を目指したものである。2010年春に欧州とアジアで販売を始めるとした。

 今回のCESで関心を集める電子書籍の試作機も披露した(写真3)。クアルコムの反射型ディスプレイ「mirasol」を搭載する。mirasolは,100%出資子会社の米クアルコムMEMSテクノロジーズによるディスプレイ。周囲光の反射を活用するIMOD(interferometric modulation)技術によりバックライトが不要であるため,低消費電力かつ屋外環境での鮮明な表示を可能とするものだ。クアルコムは,2004年に同技術を持つ企業(Iridigm Display)を買収していた。

 このほか基調講演では,モバイル機器の活用分野として教育や医療分野に注目していることを紹介した。教育分野で紹介したのは,Project K-Nect。ノースカロライナ州の複数の学校の9年次(日本の中学3年生に相当)の学生にスマートフォンを配布,学外の専門家などとの協業によって数学のスキル向上を目指すものである。クアルコムは,同社の「Wireless Reach 」活動の一環として,この活動を支援している。

 医療分野では,米ウエスト・ワイヤレス・ヘルスケア・インスティテュートでCMO(最高医療責任者)を務めるエリック・トポル医学博士が登場,モバイル機器を活用したジョギング時の心拍数記録や睡眠診断など最新のヘルスケア動向を紹介した。トポルCMOは,胎児検診などで使う超音波スキャナで自らの胸部を映し出すなどの実演で会場をわかせた(写真4)。