写真1●家庭向けテレプレゼンスを実演するシスコのチェンバーズCEO
写真1●家庭向けテレプレゼンスを実演するシスコのチェンバーズCEO
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 米シスコは、2010年1月7日(米国時間)に開幕する「2010 International CES」に合わせた報道関係者向け発表会で、家庭向けにも「テレプレゼンス」サービスを提供する方針を明らかにした。テレプレゼンスは、ブロードバンド回線とHDTVにより臨場感を高めたビデオ・コミュニケーション・システム。2010年前半には米ベライゾンと、同後半には仏フランス・テレコムと共同で実証実験に取り組む。発表会では、遠隔医療診断や学生向けの学習支援(遠隔家庭教師)などを実演した(写真1)。

 背景には、ブロードバンドとHDTVの普及がある。米国では2010年のブロードバンド普及世帯が3200万、HDTVが5700万に達するという調査結果を引用して「大きな投資を必要とせずに導入できる」(ジョン・チェンバーズCEO)素地が整ったと判断したようだ。

 家庭向けテレプレゼンスは、ここ数年、同社が取り組んでいるビデオ通信関連の活動の一環だ。シスコは、2013年の時点でインターネットの全通信トラフィックの90%をビデオ通信が占めるとみている。

 発表会では、映像データを家族などで共有できるソーシャル・エンターテインメント・プラットフォーム「Cisco Eos」などを紹介した。Eosはメディア企業を対象にしたソフトウエア・プラットフォームで、企業が用意する「ブランド・メディア」と個人が作成した「パーソナル・メディア」を連携させるものである。これにより、必ずしもソーシャル・メディアに強くない企業でもソーシャル・ネットワークで結び付いたファン・コミュニティとの連携を容易に強くできるようにする。既に米ワーナー・ミュージック・グループが採用し、成果を上げているという。

 このほか米NBCがシスコのメディア認識型ネットワーク・インフラ「メディアネット」を採用したことを明らかにした。2月に開催されるバンクーバー冬季五輪で活用する。