米Qualcommは、同社の次世代ソフトウエア・プラットフォームBrew MP(Brew Mobile Platform)を搭載した携帯電話端末が2010年内には市場に投入される見込みであると発表した。米AT&Tの「Quick Messaging Device」(タッチパネルやキーボードなどを備えた低価格な携帯電話端末のシリーズ)の標準ソフトウエアとして搭載する。韓国Samsungが最初のBrew MP搭載端末を開発する。2010年夏には製品を発表し、秋には量産出荷となる見込み。台湾HTC、韓国LG、韓国Pantechなども開発予定という。

 Brew MPは、従来のソフトウエア・プラットフォームであるBREWと比べ、マルチタスクなどOS機能を強化し、ユーザー・インタフェースとして米AdobeのFlash技術を統合している。同社が強調するBrew MPのメリットは、よりローコストに高機能な携帯電話機と、そのアプリケーションを作れることである。2010年にはAndroid搭載の高機能なスマートフォンが多数登場することが予想されているが、Brew MPは低価格の「Feature Phone(スマートフォンの下位にあたるカテゴリ)」をスマートフォン並みに高機能化する用途を提案し、差別化を図る。なお、AT&TはAndroid搭載の携帯電話端末5機種を2010年前半に投入するとの発表も行っている(関連記事)。Brew MPとAndroidは共存する形となる。

 同社は、Brew MPアプリケーションを開発するソフトウエア開発者向けツールおよびサービスの充実に力を入れていると説明する。例えば、テストの標準化を進めており、アプリケーションのテストに要するコストを削減できるとしている。また、ハードウエア層を抽象化してソフトウエア再利用性を確保しつつもAPI経由でハードウエア機能を直接呼び出せるため、特定機能のパフォーマンス最適化に有用であるとしている。Brew MPアプリケーションを開発するためのソフトウエア開発キット(SDK)は、http://developer.att.com/sdk で公開中である。