写真1●東京コンファレンスセンター・品川で「有力企業のトップが語る 2010年のネット新潮流」セミナーを開催
写真1●東京コンファレンスセンター・品川で「有力企業のトップが語る 2010年のネット新潮流」セミナーを開催
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写真2●グーグル代表取締役社長の辻野晃一郎氏
写真2●グーグル代表取締役社長の辻野晃一郎氏
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写真3●ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏
写真3●ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏
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写真4●サイバーエージェント代表取締役社長CEOの藤田晋氏
写真4●サイバーエージェント代表取締役社長CEOの藤田晋氏
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 日経BP社・日経ネットマーケティングは2009年12月22日、「有力企業のトップが語る 2010年のネット新潮流」と題したセミナーを、東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)で開催した(写真1)。

 本セミナーでは、グーグル、ミクシィ、サイバーエージェントといった大手ネット企業のトップが、自社のサービスなどについて、2009年の動向を踏まえた上で、2010年の方向性を示唆した。

 最初に登壇したグーグル代表取締役社長の辻野晃一郎氏は、「グーグルが目指す次世代マーケティングプラットフォーム」と題して講演した。辻野氏は冒頭、2009年はケータイ向けOS「アンドロイド」を搭載した携帯電話端末が発売されるなど、「新たな製品を矢継ぎ早にリリースする変化の多い年だった」(辻野氏)とした(写真2)。

 続いて、テレビ、ラジオ、インターネットの誕生から普及までの成長曲線を表したグラフを表示。辻野氏は、「ほかのメディアに比べて、ネットはかつてないスピードで成長している」とした上で、まだ広告媒体としては発展の最初のフェーズに差し掛かっているにすぎないという。「ネット上の広告ビジネスの本格化はこれから。可能性は無限に広がっていく」と主張した。

 ネットの市場が一層拡大する中、同社では「すべてはオンライン化する」「コンピューティングはクラウドに移行する」「イノベーションは安価になる」「すべてはローカライズ化される」「検索はよりパーソナライズ化される」「すべてのマーケティングはデジタル化する」という6つの大きなトレンドを意識した、ビジネス展開をしていくと説明した。広告ビジネスにおいては、「YouTube」と「AdWords」の組み合わせや、ケータイ広告を含めてディスプレー広告、地域情報と地図サービスを組み合わせた広告商品の開発などに力を入れていくことを明かした。

コミュニケーションを前提としたアプリ制作が重要

 次にミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏が「プラットフォーム展開で強まる『mixi』のメディア力、ミクシィが描く次の一手」と題して講演した(写真3)。

 講演は、注目が集まる「mixiアプリ」を中心に進んだ。まず、サービスを開始したことで、mixiにもたらした成果について説明した。mixiのPV(ページビュー)は今までも、順調に右肩上がりを続けてきた。ただ、「パソコンのPVは右肩下がりだった」(笠原氏)という。だが、mixiアプリの提供により好転。2009年8月の提供開始から2カ月でパソコン版のPVは40%増加するなどを明かし、好調さをアピールした。また、アプリの利用はケータイ版の開始によりさらに加速。延べ利用者数は合計で5500万人を突破したと説明した。

 mixiアプリで人気を集めているのは、仮想の農場を運営できるアプリ「サンシャイン牧場」や、自分の街を成長させていく「まちつく!」などだ。これらの成功事例から、mixiアプリの成功のポイントは「分かりやすさ」「ソーシャル性」「継続性」「巻き込み性」の4つであるという。特にソーシャル性が重要になり、「ゲームを中心にコミュニケーションをするのではなく、コミュニケーションを軸にゲームをする仕組みを作ることが成功の鍵を握る」(笠原氏)と説明した。

 同社では、mixiアプリや一言メッセージサービス「mixiボイス」を提供するなどコミュニケーションの多様化に力を入れている。2010年も日記機能の改善や、友達を探しやすくする仕組みなどに注力すると締めくくった。

アメーバなう、2010年に200万人の会員獲得目指す

 3つ目の講演では、サイバーエージェント代表取締役社長CEOの藤田晋氏が登壇(写真4)。「広がるAmebaの世界、ブログを超える新メディアへ」と題して、本誌編集長の渡辺博則と対談を行った。

 藤田氏は冒頭「(仮想空間サービスの)『アメーバピグ』の急成長などで、ネットメディア企業として注目されるなど、5年間注力してきたことがようやく認められた」と、2009年をメディア企業として花開いた年であったと振り返った。

 アメーバピグを提供した狙いについて尋ねられると、藤田氏は「ブログだけで大きな収益を上げた企業は世界にもいない。これまでも『アメーバブログ』をベースに、横のコミュニケーションを強化してきた。その動きの中、アバターを中心としたコミュニケーションを提供した」と説明した。2009年2月にサービスを開始し、ユーザー数は既に180万人を超える。収益の中心はアバターアイテムの販売などによる課金モデル。既に月商1億5000万円の規模になっている。「現在は女性ユーザーが中心。2010年にはケータイ向けに釣りゲームを提供するなどして、男性も取り込みたい」と展望を明かした。

 2009年12月に開始したミニブログサービス「アメーバなう」についても、新しいコミュニケーションの手段として提供を開始したという。想定する利用者層は「それほどネットリテラシーの高くない一般層」(藤田氏)だ。藤田氏は、アメーバは利用者数が膨大なマスメディアであるべきという意識が高い。「2010年中に、200万人以上の利用者の獲得を目指す。達成できなければ、その後も継続して注力するかどうかを含めて考える」(藤田氏)と語った。