米連邦取引委員会(FTC)は米国時間2009年12月16日,米Intelがマイクロプロセサ市場における支配的地位を悪用するなど独占禁止法(独禁法)に違反したとして,同社を提訴した。FTCは,Intelがグラフィックス・プロセサ(GPU)市場でも同様の不正行為を働いたとしている(関連記事:Intel,米国で独禁法違反調査の対象に)。

 FTCによると,Intelが競合メーカーのマイクロプロセサを市場から締め出す目的で10年間にわたって組織的な違法行為を展開し,市場支配体制をつくり上げたという。Intelは米Dellや米Hewlett-Packard(HP),米IBMなどのパソコン・メーカーに脅迫やリベートといった手段で働きかけ,競合メーカー製品の採用を見送らせたとしている。またIntelが同社製コンパイラをひそかに改造し,競合メーカーのマイクロプロセサ上で動くソフトウエアの速度を故意に落としたとも主張。こうした行為の影響により,消費者はマイクロプロセサの選択肢を減らされ,Intel製以外の高性能/低価格な製品の購入機会を奪われたという。このほかFTCは,Intelがマイクロプロセサ市場の独占に成功すると同じ手法をGPU分野にも適用し,米NVIDIAなどとの競争を優位に進めたとみている。

 これを受けIntelは同日,「(Intelは)適正かつ合法的な手段で事業を展開し,消費者に利益をもたらした」と反論した。「FTCは,提訴の直前に付け加えたさまざまな主張を根拠としており,それらには詳細な調査が行われていない」と非難している。Intelは世界各地で独禁法違反の疑いをかけられており,欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)が2009年5月に,欧州競争法違反で制裁金10億6000万ユーロの判決を下している(関連記事:欧州委員会,独占禁止法違反でIntelに約1400億円の制裁金)。また11月にはニューヨーク州が訴訟を提起した(関連記事:ニューヨーク州司法長官,Intelを提訴,独禁法違反の疑い)。

 なお,Intelのマイクロプロセサ販売行為が独禁法違反に相当すると提訴していた米AMDは,すべての訴訟でIntelと和解に至っている(関連記事:Intel,12億5000万ドル支払いでAMDと和解,5年のライセンス契約締結米AMDがx86プロセサの不正販売行為で米Intelを提訴,「38社が圧力の犠牲になった」)。

[発表資料(FTC)]
[発表資料(Intel)]