セールスフォース・ドットコムは2009年12月15日、ソフトウエアメーカーがセールスフォースのプラットフォームサービス「Force.com」を使って自社ブランドのソフトウエアサービスを開発できる「OEMパートナー・プログラム」を発表した。NECや富士通、日立ソフトウェアエンジニアリングなどがOEMパートナーに名を連ねている。

 セールスフォースのOEMパートナーは、Force.comの上に自社ブランドのサービスを開発して、顧客に直接販売する。従来もForce.com上に構築されたサードパーティーのサービスを販売する「AppExchange」という仕組みがあったが、AppExchangeの場合は顧客企業がセールスフォースと利用者契約を結ぶ必要があった。今回発表したOEM契約の場合は、顧客企業が契約を結ぶのはOEMパートナーだ。顧客はサービス料金をNECや富士通、日立ソフトに支払う。セールスフォースは、Force.comの利用者数に応じた使用料金をOEMパートナーから徴収する。

 NECはOEMパートナー契約を結んで、一般企業や自治体向けに勤怠管理サービスなどを提供する。富士通は米国のグループ会社であるグロービアインターナショナルが2008年11月、AppExchangeで販売してきた販売管理アプリケーション「glovia.com Order Managemet」を日本でも販売する。日立ソフトはグループウエアなどを販売する予定。

 独立系ソフトウエアベンダー(ISV)7社が、OEMパートナー契約を結んだ。その1社である日本オプロは、Force.comのアプリケーション内でWordやPDFの帳票を作成できる「OPROARTS Apps Easy Merge」というサービスを米国で販売する。今後は日本でもForce.comを使ったサービスを自社ブランドで販売する予定。同社の里見一典社長は「我々のような中小ISVにとっては、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を始める上で、データセンター投資が大きな足かせになっていた。Force.comを使えば、それらの投資が不要であり、かつ全世界でサービスを販売できるようになるのが、中小ISVにとっての大きな魅力だ」と語る。

 OEMパートナー・プログラムでは、Force.comの全機能を利用できるが、「Salesforce CRM」が備える顧客管理機能をOEMパートナーが自社のサービスに組み込むことはできない。OEMパートナーに対しては、専用の開発ツールを提供するほか、開発者教育のプログラムなども提供するとしている。