図●PS3の最新モデルを分解して製造原価を推定した
図●PS3の最新モデルを分解して製造原価を推定した
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 米iSuppliは米国時間2009年12月11日,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のビデオ・ゲーム機「PlayStation 3(PS3)」を分解して原価を推定した結果を発表した()。これによると,PS3の120Gバイト・モデルの部品および製造コストの合計は,336.27ドルだった。米国の販売価格は299ドルで,依然として原価を37.27ドル割り込んでいる。

 2006年に発売開始した当時は,販売価格が原価を大幅に下回り,1台売れるごとに大きな損失を生むと言われていた。しかしSCEは部品と製造コストの見直しをすすめ,過去1年で100ドル値下げしたにもかかわらず,原価と販売価格の差は縮まった。2008年10月時点で販売されていた旧モデルの分析では,販売価格が原価を49.72ドルも割り込んでいた。

 SCEはクリスマス・セールがピークを迎える前にPS3の値下げを実施し,ブラック・フライデー(感謝祭直後の金曜日)を含む2009年11月23~29日の間に,米国で過去最高の44万台を売り上げた。以前は,競合するゲーム機に比べ価格が高いことが大きなネックとなっていたが,価格引き下げにより,価格面での不利をいくらか解消したようだ。

 部品別に原価を分析すると,最も高額だったのはBlu-rayドライブの66ドル。次いで米NVIDIA製GPU「Reality Synthesizer」の45.83ドル。NVIDIAと共同開発したGPU「RSX Reality Synthesizer」は2008年10月時点より21%安くなった。また,ソニーと東芝,米IBMが共同開発した「Cell Broadband Engine」は旧モデルの65nmから45nm技術に移行したことで,原価が19%下がって37.73ドルとなっている。

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■変更履歴
記事公開当初,1段落目に「依然として原価を31.27ドル割り込んでいる」とあったのは「依然として原価を37.27ドル割り込んでいる」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/12/16 22:40]