写真●シスコのエザード・オーバービーク社長(左)と、アクセンチュアの伊藤智康アクセンチュア&シスコビジネスグループ統括パートナー(中央)と程近智社長
写真●シスコのエザード・オーバービーク社長(左)と、アクセンチュアの伊藤智康アクセンチュア&シスコビジネスグループ統括パートナー(中央)と程近智社長
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 アクセンチュアとシスコシステムズが2009年12月10日、日本における戦略的提携を拡大すると発表した(写真)。仮想的な新組織「アクセンチュア&シスコ ビジネス グループ」(ACBG)を設立し、両社から移動した約30人でスタートさせる。アクセンチュアが持つ企業経営層への営業力と、シスコのネットワーク技術力を互いに補完するのが目的だ。

 シスコのエザード・オーバービーク社長はACBGについて、「顧客の経営課題に関する専門知識を有しながら、ITとネットワークによる解決策を具現化するスキルを持つ組織になる」と説明する。具体的には、アクセンチュアが経営・ITコンサルティングを通じて得た経営課題解決やアプリケーション構築のノウハウと、シスコが保有する自社製品を使った成功事例を持ち寄る。

 ACBGが狙う領域は、(1)社内コミュニケーション、(2)コンタクトセンター、(3)ネットワークインフラのリプレース、(4)データセンター再構築の四つ。アクセンチュアの程近智社長は、「これからの企業組織はゴムのように伸び縮みできることが求められると思う。世界をまたいだコラボレーションや資源の活用が必要になるし、そのためにはネットワークは不可欠だ」と語る。

 またシスコシステムズの川上佳樹パートナービジネスオペレーションズディレクターによれば、「シスコ製品を使ったシステムのデリバリー速度と品質を高められる」とした。

 シスコは主力商品を、これまでのルーターやスイッチから、高画質テレビ会議「テレプレゼンス」やデータセンター全体のアーキテクチャ刷新など、より経営層による意志決定が必要な商材に移しつつある。経営層へのアプローチではこれまで、日本IBMと提携していたが、アクセンチュアとも組むことで販路を拡大する狙いがあると見られる。

 一方のアクセンチュアにとっては、ネットワーク活用が企業経営に不可欠な時代になり、シスコが持つ成功事例が提携に踏み切らせる一因となった。