セブン&アイ・ホールディングスは2009年12月8日、Webサイト「セブンネットショッピング」を開設してネット通販事業に本格参入すると発表した。新サイトは食品や飲料、日用品、化粧品、ゲーム、書籍、CD、DVDなど11カテゴリ500万アイテムを扱う総合ショッピングサイトになる。「ネットサービスは日進月歩で時期は読みづらいものがあるが、2012年度には売上高1000億円を目指す」(セブン&アイ・ネットメディアの後藤克弘社長、写真1)。
同社は新サイトを通じて大きく二つの果実を狙う。一つは販売チャネル、販売品目の拡大だ。その象徴が品揃えの豊富さと、セブンネットショッピング内に開設する「こだわり専門店」。ショッピングサイトでの取り扱い商品は11年末に1000万アイテムまで増やす。こだわり専門店では同社と提携した32店舗が出店し、スタジオジブリのグッズやエイベックスとのコラボレーション商品、老舗メーカーの高級品などを扱う。これも11年末には300店舗に拡大する計画だ。
新サイトの運営会社であるセブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)の鈴木康弘社長は「従来は売り場面積に限りがあり、売れ筋商品や話題の商品しか置けなかった。ネットでは売り場は無限だ。従来よりも多くの商品を売る機会を得られる。ネットで売れた商品はリアルの店舗の売り場にも置いていきたい。メジャーリーグで言うと、マイナーリーグからメジャーリーグへ“昇格”していくイメージだ」と説明した(写真2)。
もう一つが顧客行動などマーケティング情報の吸い上げだ。鈴木社長は「ネット時代に入って顧客自身が情報を持つようになった。顧客が商品の新しい使い方を編み出したりしていて、今後は商品開発も“顧客発”に変わっていく」と分析。セブンネットショッピングに口コミサイトの機能を持たせ、消費者ニーズの収集や、消費者コミュニティ主導の商品開発につなげる。
こうした販売、マーケティング両面の顧客接点を生かし、「将来的には『流通クラウドポータル』を目指す」(鈴木社長)という。セブンネットショッピングが中心となり、セブン&アイグループ各社、メディア企業、コンテンツ事業者、メーカーと共同のマーケティング活動や商品開発、クロスメディア広告などの展開をもくろむ。