写真●東京証券取引所の斉藤惇社長
写真●東京証券取引所の斉藤惇社長
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 「取引所は取引の場を提供するだけで個別の注文を処理する義務はない、という我々の主張はおおむね認められた。だが、取り消しのオペレーションの責任が我々に7割ある、と判断されたことに対しては忸怩(じくじ)たる思いだ」(関連記事)。2009年12月4日、東京証券取引所の斉藤惇社長は会見でこのように語った。

 裁判所が責任の7割が東証にあると判断したことについて斉藤社長は「そもそもみずほ証券に誤発注という過失がなければ起きなかったこと。私自身、株の発注業務に関わったことがあるが、価格と数量を取り違えるなどというのはあり得ない間違えだと感じる。もっと発注者の教育を徹底すべきだ」と指摘した。

 裁判所の「約定株式数が発行済株式数の3倍を超えた場合は、東証が注文を止めるべき」という指摘については「東証は場を提供するだけで、発注を止める権限はないというのが、これまでの認識。発注を止める判断を東証がするのは非常に難しいが、今後仕組みを検討する」(斉藤社長)とした。

 今回の判決は「東証が取消処理ができない不完全なシステムを提供した」として、東証のシステム不備を指摘している。斉藤社長は、来年1月に稼働する新システムについて「同様の不具合が無いよう最大限努力する」と語った。

 控訴については「2週間の間に決めればいいので、弁護士と一緒に検討し、しかるべき対処をしたい」(斉藤社長)とした。