Intelが試作した48コア・プロセサ「single-chip cloud computer」
Intelが試作した48コア・プロセサ「single-chip cloud computer」
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 米Intelは米国時間2009年12月2日,1つのLSIチップに演算コア48個を集積した試作プロセサを発表した。2010年に数十の企業/大学へ100個以上の試作プロセサを提供し,多コア・プロセサを効率よく利用できるソフトウエア/プログラミング・モデルの研究開発を推進する計画。

 試作プロセサはIntel Architecture(IA)ベースの演算コアを48個搭載し,各コアをネットワーク化した。新たな電力管理技術を用い,消費電力を25~125Wに抑えたとしている。コア間の直接データ交換に対応しており,外部メモリーにアクセスする必要性を下げているため,高速な演算が可能という。データ転送距離も短くなるので,消費電力の削減効果も得られる。クラウド対応データセンター用ソフトウエアで使われる並列プログラミング・モデルを採用できるアーキテクチャとした。

 Intelは米Hewlett-Packard(HP)および米Yahoo!などと共同運営しているクラウド・コンピューティング検証プロジェクト,Open Cirrusを通じ,試作プロセサへのクラウド・アプリケーション移植作業を始めている。分散処理プラットフォームには,オープンソース・ソフトウエア「Hadoop」を採用した(関連記事:HP,Yahoo!,Intelのクラウド検証プロジェクト,ロシアや韓国などの3組織が加入)。米Microsoftも研究開発に協力する方針。

 試作プロセサのアーキテクチャや回路といった詳細は,2010年2月にカリフォルニア州サンフランシスコで開催される半導体関連の国際会議International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)で論文として発表する。

 Intelは,この試作プロセサがクラウド対応データセンターと似た構成であることから「single-chip cloud computer」(シングルチップ・クラウド・コンピュータ)と呼んでいる。また,同社は以前から複数の演算コアとグラフィックス処理機能を組み合わせた次世代マイクロプロセサ・アーキテクチャ「Larrabee」(開発コード名)の開発に取り組んでおり,第一弾のLarrabeeプロセサを2009年終わりから2010年初めにかけて出すとしていた(関連記事:Intel,次世代マイクロ・プロセッサ「Larrabee」の詳細を公表Intel,多コア化可能な新アーキテクチャ「Larrabee」を来週発表)。

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