写真●記者会見に臨む東京工業品取引所の江崎格社長
写真●記者会見に臨む東京工業品取引所の江崎格社長
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 東京工業品取引所は2009年11月30日に記者会見を開き、27日に発生した取引システム障害(関連記事1関連記事2)の原因について、海外製業務パッケージソフトウエアのバグにあったと発表した(写真)。

 ナスダックOMXグループのOMXテクノロジーが開発した「CLICK XT」に二つのバグがあった。一つは「気配値」の計算に使うプログラムが、使用したメモリー領域を削除していなかったというもの。このプログラムは、取引が始まる時間帯である「寄り付き」までの間、注文を受信するたびに動く。バグによって、注文を受信するにつれメモリーの使用可能領域が減少、最終的にメモリー領域が足りなくなり気配値を算出できなくなった。

 二つ目は、現用系システムから待機系システムに処理を切り替える「フェイルオーバー」の際に使うプログラムにあった。東工取の取引システムはホットスタンバイ方式で二重化してあり、現用系のメモリー不足を受けて、本番処理が待機系に自動で切り替わるはずだった。ところがバグにより、メモリー上の一部データを正常に引き継げなかった。その結果、待機系システムでも気配値を正常に計算できなかった。

 システム障害があった11月27日は、取引システムが稼働した5月以降で、寄り付きまでに受け付けた注文件数が最高だった。注文件数の増加により潜在バグが表面化した。

 システム障害は11月27日の夜間取引が始まる直前の午後4時53分に発生、東工取は17時10分に金の標準、ミニ、オプションの各取引を停止していた。東工取は取引システムの開発・運用保守を担当するNTTデータとともに原因を突き止め、開発元のOMXテクノロジーにソフトの修正を依頼、29日までにテストで正常動作を確認した。取引システムは11月30日は正常に動作している。

 東工取の取引システムは稼働直後の5月12日にも、ネットワーク機器の不具合によって全商品の取引が3時間半ほどできなくなるトラブルが発生している。