写真1●「日本Androidの会」の丸山不二夫会長
写真1●「日本Androidの会」の丸山不二夫会長
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写真2●丸山氏は「現代のAndroid搭載携帯端末は、1975年のスーパーコンピュータCRAY-1に匹敵する能力を持っている」と語った
写真2●丸山氏は「現代のAndroid搭載携帯端末は、1975年のスーパーコンピュータCRAY-1に匹敵する能力を持っている」と語った
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 2009年11月30日、都内でAndroid開発者向けイベント「Android Bazaar and Conference 2009 Fall(ABC 2009 Fall)」が開催された。Androidに関心を持つソフトウエア開発者らが多数集合。開発者コミュニティの存在感をアピールした。

 主催団体である「日本Androidの会」会長の丸山不二夫氏(早稲田大学大学院 客員教授)は、「クラウド・デバイスとメディアの統合」と題して基調講演を行った。Android搭載端末を「クラウドの時代のデバイス」として位置づけ、このようなデバイスが将来的なメディアのあり方を変えることを示唆するものだった。

 「今の携帯端末は、1975年のCRAY-1と同レベルの演算能力を持っている。一方、サーバー側のクラウドは、量的な基準が桁違いの『Webスケール』の処理能力を備えている」(同氏)。

 iPhoneやAndroid搭載端末は、電話機として登場したが、その実態はクラウドを利用するための端末である、と強調した。「iPhoneやAndroid(搭載端末)は電話の形をしてはいるが、単なる電話機ではない。『クラウド・デバイス』ととらえるとすっきりする」(同氏)。

 「iPhone/Androidは単なる携帯電話ではない。それはインターネットのフルブラウザでもあり、音楽プレーヤでもあり、動画の再生プレーヤでもある。ネット上のアプリケーションをダウンロードすれば、その機能は多様に変化する。iPhone/Androidは、インターネット、クラウドのきわめて便利なビューワーだ。このような動きを背景に、現在のマス主体のメディアとは異なる、次の世代のパーソナルなメディアが登場するだろう」(同氏)。

 クラウドの側から見れば、最も数量が多い端末は、パソコンではなく携帯電話である。特にiPhoneやAndroid端末を筆頭とするスマートフォンからのトラフィックが急増している。「こうした端末からのアクセスが集中する「Webスケール」のサービスは、クラウドでなければ実現できない」(同氏)。つまりクラウドと、iPhone/Android搭載端末などクライアントの両方が連携することで「まったく新しい、“パーソナルメディア”が誕生するだろう」と、近未来の情報通信技術の姿を示唆して、同氏は講演を終えた。

 同イベントでは、総務省や通信事業者の講師による講演から、開発者による肩肘張らないセッションまで、多様なプログラムが用意されていた。また18の企業・団体がAndroid関連展示を行った。

 「日本Androidの会」のメーリングリスト参加者数は4800名を越えた。また、先ほどNPO法人として認可された。日本国内で発売されているAndroid端末は現在NTTドコモのHT-03Aただ1機種にとどまっているが、2010年には多数のAndroid搭載端末が国内で登場すると予想されている。こうした、Androidをめぐる「夜明け直前」の勢いを感じさせるイベントだった。