マイクロソフトは2009年11月25日,リレーショナル・データベース製品「SQL Server」についての報道機関向け説明会を開催し,SQL Serverの次期バージョン「SQL Server 2008 R2」を2010年上半期に出荷を始めると表明した。2010年2月には,そのクラウド版というべき「SQL Azure」の商用課金も開始する。11月25日からは,SQL Server 2008 R2の日本語プレビュー版を提供し,SQL Azureのプレビュー提供も開始した。

 SQL Server 2008 R2の最大の特徴は,新製品SQL Azureと併用できるようにしたことだ。SQL Serverの管理コンソールで,サーバー名の欄に「tcp:ll」で始まるSQL Azureサービスのアドレスを入力すれば,SQL AzureをSQL Serverと同じように利用できる。SQL ServerとSQL Azureは主な部分のソースコードが同じで,SQLなどの互換性がある。SQL ServerとSQL Azureの両方に対応したデータベース・アプリケーションを開発できるわけだ。

 SQL Server 2008 R2のほかの特徴としては,(1)プライベート・クラウドを構築できる,(2)拡張性向上,(3)ビジネス・インテリジェンス(BI)機能「PowerPivot」などがある。アプリケーション側で「DAC(Data-tier Application Component)」に必要なサービス要件を記述しておくと,UCP(Utility Control Point)と呼ばれる機能が,DACの要件を満たすサーバーを自動的に割り当てる。これによってプライベートなSQL Serverのクラウドを構築可能だ。

 拡張性の面では,Datacenter Editionで,最大256個の論理プロセサをサポートした。大量なコンピュータを使った超大規模並列処理(Massive Parallel Processing)により,SQLをサーバーに振り分けるようなシステムの構築を可能にした。BI機能のPowerPivotは,ユーザー自身が大規模なデータを扱った分析を行えるようにしたもの。Excel 2010へPowerPivotのアドインを組み込むことで,Excelの上限である100万行を超えるデータを分析可能だ。

■変更履歴
「11月25日からは,SQL Server 2005 R2の日本語プレビュー版を提供し」とありましたが,「11月25日からは,SQL Server 2008 R2の日本語プレビュー版を提供し」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/11/26 14:56]