写真●Internet Week 2009の『IPv6「再」入門』トラックの様子
写真●Internet Week 2009の『IPv6「再」入門』トラックの様子
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 インターネット技術・構築・運用・サービスに関するイベント「Internet Week 2009」が,2009年11月24日に開幕した。27日までの4日間にわたってセミナーやチュートリアル,ミーティング,BoF(birds of a feather)が催される。会場は東京都千代田区の秋葉原コンベンションホールで,主催は日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)である。

 初日午前に開かれた3トラックのうち『IPv6「再」入門』には,4人の講師が登壇した。最初にNTT情報流通プラットフォーム研究所の松本存史氏が,現在のIPv6を正しく認識するとの観点から,IPv6の基本仕様,設計思想,移行方法や普及展開に関して“今はすでに通じなくなっているIPv6の神話”を多数ピックアップ。それぞれに対して現実はどうなっているかを説明した(写真)。また同氏はトラックの中盤で,デュアルスタック・ネットワーク技術や,IPv4-IPv6トランスレーション技術など,IPv6標準化に関する最新動向を解説した。

 同研究所の加藤淳也氏は,家庭・SOHO向けにIPv6ネットワーク構築の基礎を講演した。6to4,Teredoなどの自動トンネル技術や,NTTコミュニケーションズ,インターネットイニシアティブ(IIJ),フリービット,gogo6(ヘキサゴ)のIPv6インターネット接続サービスを紹介。そのあとで家庭およびSOHO向けルーターのIPv6対応状況とアドレス配布,セキュリティの注意点を解説し,NGN(次世代ネットワーク)上で提供されるIPv6インターネット接続機能にも言及した。

 JPNICの奥谷泉氏は,IPv6アドレスが配られる流れとアドレス・ポリシーを解説。IPv6アドレスの分配を受ける方法とその要件を説明した。また,国内におけるIPv6の分配状況とサービス別の割り振り件数などの統計データを紹介した。なお,奥谷氏が取り上げた話題のうち,8月のAPNIC会合で賛同が得られ,11月18日のAPNIC理事会で承認された「IPv4アドレスの割り振りを受けていれば,/32のIPv6の割り振りを受けられる」と「IPv4の特殊用途PI(provider indendent)アドレスの割り当てを受けていれば,/48のIPv6の割り当てを受けられる」については会期中の26日に開かれるJPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM)で議論される予定だ。JPOPMでは,APNIC理事会で承認された「IPv4アドレスの移転」も議論される予定になっている。

 APNICの藤井美和氏は「IPv6実装状況アップデート」と題して,IPv4およびIPv6アドレスの割り振り状況と,世界各地域および米,中,豪,台などいくつかの国・地域におけるIPv6実装状況を解説した。なおIANAのIPv4アドレスの在庫が10%を割った時点で,世界各地域のRIRとNRO(Number Resource Organization),インターネット関連団体,NIRなどでメディアへのニュース発信などを含めたキャンペーンを展開していくと説明した。ちなみに,11月24日現在,IANAの在庫は256ブロックのうち26ブロックが未割り振りである。