写真●2010年上半期には、データベースの複製(クローン)を地理的に異なる別のデータセンターに置くことが可能になる
写真●2010年上半期には、データベースの複製(クローン)を地理的に異なる別のデータセンターに置くことが可能になる
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 「SQL Azureは、単なるSQL Serverのホスティングではない」--そう語るのは米マイクロソフトでSQL Azureを担当するプリンシパル・プログラム・マネージャーのトニー・ペトロシアン氏。2009年11月17日~19日(いずれも米国時間)に開催中の「PDC09」で同社は、SQL Azureに自動バックアップ機能を追加することなどを明らかにした。

 「SQL Azure」は、同社のクラウドサービス「Windows Azure」の一部。Windows AzureにはSQL Azureだけでなく、「Azure Table Storage」という表形式のデータベースも存在する。SQL Azureは「T-SQL」が使える一方で、データベースのサイズが最大で10Gバイトに制限されている。一方のAzure Table Storageは、1つのテーブルの情報を最大で数千台のサーバーに分散配置するため、数Tバイトのデータも高速に扱えるという!)い拡張性を持つ。

 SQL AzureはAzure Table Storageと比較して、クラウドコンピューティングの特徴であるシステムの拡張性よりも、従来型のRDBMSを使用するシステムとの互換性に気を配ったサービスと言える。それでもペトロシアン氏が「単なるホスティングではない」と強調するのは、今後様々な付帯機能がSQL Azureに追加されるからだ。

 例えば2010年上半期から、データベースのバックアップ機能が強化される。現時点のSQL Azureでは、データベースは複数のサーバーに複製されており、ハードウエアなどの障害に耐えられるようになっている。さらに2010年上半期には、データベースの複製を地理的に異なる別のデータセンターに置く運用が可能になる(写真)。

 さらに2010年下半期には、「コンティニュアス・バックアップ(継続的バックアップ)」と呼ぶ機能が追加される。これはデータベースの内容を、いつでも任意の時点に復元できるというものである。

データの暗号化機能も提供予定

 ユーザーのデータを暗号化して保存する機能「Vidalia(開発コード名)」も追加される予定だ。単に顧客企業が自社のデータを暗号化してマイクロソフトのデータセンターに保存できるだけではない。アクセスポリシーに従って特定のパートナー企業だけにデータの利用を許可するという「フェデレーティング・アクセス」機能も提供する。

 またSQL Azureにおける暗号化キーなどの管理は、外部の監査機関に委ねることが可能だ。社内のシステム管理者が勝手に暗号化を解除してデータを読み出すといったこともできなくなる。マイクロソフトはこのような仕組みを「Audit(監査) as a Service」と表現している。