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 米国ロサンゼルスで2009年11月16日(米国時間)から、米マイクロソフトの開発者会議「Microsoft PDC09」が始まった(写真)。17日(同)の基調講演にはチーフ・ソフトウエア・アーキテクトのレイ・オジー氏と、サーバー&ツールビジネス担当プレジデントのボブ・マグリア氏が登場し、クラウドサービス「Windows Azure」の詳細や、Windows Server 2008 R2に追加される分散処理ソフトウエアなどが発表される予定。

 マイクロソフトはPDC09に合わせて、Windows Azureの商用サービスを開始する。日本では2010年1月からすべてのユーザーが利用可能になり、同2月から課金などが開始される予定。PDC09では、各サービスの詳細なSLA(サービス・レベル・アグリーメント)などが明らかになる見通しだ。

 今回のPDC09では、Windows Server 2008 R2に追加される分散処理ソフトウエアが、新規に発表される予定だ。開発コード名が「Windows Server 'Dublin'」と呼ばれる分散アプリケーションサーバーと、同じく「Velocity」と呼ばれる分散メモリーキャッシュが正式に発表される見通し。Windows Azureと同様にスケールアウトによってシステムのパフォーマンスを向上させる分散処理ソフトウエアを、マイクロソフトが顧客企業に販売する。

 Windows Server 'Dublin'は.NET Framework 4.0と同時に2010年にリリースされる予定。.NET Framework 4.0のWindows Workflow FoundationとWindows Communication Foundationをベースに、データベースアクセス技術などを強化することによってアプリケーションサーバー層のスケールアウトを容易にする。

 Velocityは複数のサーバーの物理メモリーを連携させて巨大なメモリー空間を作り出すソフトで、主にデータベースのキャッシュとして利用する。アプリケーションサーバー層とデータベース層の中間で機能し、スケールアウトの難しいリレーショナルデータベースに代わって、データベースのスケールアウトを実現する。

 今回のPDC09では、Windows Server 'Dublin'やVelocityの正式名称や顧客企業への提供方法などが正式に発表される見通し。VelocityはWindows Azureの基盤技術としても利用されている。Windows Azureのソフトウエアは、マイクロソフトのデータセンターでのみ稼働し、顧客企業にはサービスとして提供されるだけだ。Windows Azureのようなスケールアウトが容易なソフトウエアを企業内で運用したい顧客に対して、Windows Server 'Dublin'やVelocityを提供することになる。

 PDC09初日の16日には、「Day 0」と称して、PDC09までに発表されたマイクロソフトの製品/技術をおさらいするセッションなどが行われた。PDC09は19日まで開催される。