写真●米ガートナー シニアバイスプレジデント(リサーチ部門最高責任者)のピーター・ソンダーガード氏
写真●米ガートナー シニアバイスプレジデント(リサーチ部門最高責任者)のピーター・ソンダーガード氏
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 ガートナージャパンは2009年11月11日,CIOおよびITプロ向けイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2009」を開催した。イベント会場内で行われた報道関係者向けセッションに登壇した米ガートナー シニアバイスプレジデント(リサーチ部門最高責任者)のピーター・ソンダーガード氏(写真)は,「2009年はIT業界にとって最低の年だったが,グローバルで見ると,2009年の第3四半期(7~9月)で企業のIT投資は底を打った。2010年は回復基調になり,2012年には2008年の水準まで戻るだろう」と明るい見通しを示した。

 同社の調査によると,2009年のIT業界は,世界規模の経済危機によりハードウエア,ソフトウエア,ITサービス,通信のすべての分野でマイナス成長となり,IT投資全体で前年比6.8%減少した。特にハードウエアの落ち込みが著しく,米ドル換算で前年比17%も減少したという。この点についてソンダーガード氏は,「老朽化した機器の買い替えの先送りや見送りにより,2010年はハードの故障率が増加することが懸念される。企業は,ITシステムのリスク・プロフィールを見直さなくてはいけない」と警告する。

 しかし,ハードウエアへの投資も2009年第3四半期で底を打ち,2010年は前年比1.5%程度増加する見通しだ。また,ソフトウエア,ITサービスも2009年8月くらいからエンタープライズ向けを中心に引き合いが回復しているという。通信分野も,コンシューマ向け商材の伸びが牽引して,前年比1.3%程度の成長が予想される。同社は,IT業界全体で回復基調が強まっているとして,2010年の企業全体のIT支出予想額を前年比2%増から同3%増に上方修正した。「ただし,2010年に本格回復するのは中国,インドなどの新興国に限られる。日本や欧米諸国のIT支出が2008年の水準に戻るには2012年になるだろう」(ソンダーガード氏)。