英大手銀行Royal Bank of Scotlandの系列会社でカード決済サービスを手がけるRBS WorldPayのコンピュータに不正侵入した容疑で,米アトランタ州連邦大陪審が国際グループを起訴した。米司法省(DOJ)が米国時間2009年11月10日に発表したところによると,グループのメンバーはエストニア,ロシア,モルドバに住む3人の男と,「Hacker 3」と呼ばれる人物の合計4人。

 RBS WorldPayは,さまざまな企業の給与支払いデビットカードを扱っており,従業員はこのカードを使ってATMから給与を引き出すことができる。RBS WorldPayは顧客情報を保護するためデータの暗号化を行っていたが,容疑者グループは巧妙な手口でこれを回避した。不正アクセスした口座の上限額を引き上げ,44枚の偽造デビットカードを作成し,世界の約280都市で2100以上のATMから合計900万ドルを引き出した。

 グループの4人は,電子通信詐欺および共謀,コンピュータ詐欺および共謀,アクセス・デバイス詐欺,加重個人情報窃盗など,16の罪に問われている。有罪が確定すれば,電子通信詐欺罪および共謀罪で最大20年,コンピュータ詐欺罪で最大5年~10年の禁固刑などに加え,最大350万ドルの支払いを命じられる可能性がある。

 また別の4人も,アクセス・デバイス詐欺に関与したとして起訴されており,最大15年の禁固刑と,最大25万ドルの支払いを言い渡される可能性がある。

 この事件では,米連邦捜査局(FBI)が捜査を行い,エストニアや香港など,米国以外の政府当局が容疑者逮捕に協力した。

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