写真1●米グーグルでプロダクトマネージメント担当バイスプレジデントを務めるブラッドリー・ホロウィッツ氏
写真1●米グーグルでプロダクトマネージメント担当バイスプレジデントを務めるブラッドリー・ホロウィッツ氏
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写真2●米グーグルでエンタープライズマーケティング担当ディレクターを務めるビル・ロッシ氏
写真2●米グーグルでエンタープライズマーケティング担当ディレクターを務めるビル・ロッシ氏
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写真3●グーグル日本法人の辻野晃一郎社長
写真3●グーグル日本法人の辻野晃一郎社長
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 グーグルは2009年11月4日、東京都内で「Google Enterprise Day 2009」を開催し、企業向けに提供するソフトウエア・サービス「Google Apps Premier Edition」のSLA(サービスレベル・アグリーメント)で保証する月間サービス稼働率を、2010年に「99.99%」に引き上げる方針などを明らかにした。現在のSLAにおける月間サービス稼働率は「99.9%」である。

 Google Enterprise Dayは、グーグルが提供する企業向けのサービスを紹介するプライベートイベント。講演した米グーグルのブラッドリー・ホロウィッツ氏(プロダクトマネージメント担当バイスプレジデント、写真1)は「クラウド(と名の付くサービス)がすべて同じわけではない。グーグルのクラウドコンピューティングには『いつでも最新版のソフトウエアが利用できる』『セキュリティが保たれている』『拡張性(スケーラビリティ)が優れている』といった利点に加えて、『システム統合を社内だけでなく、企業をまたいで行える』という他にない利点がある」と話す。「Gmail」や「Google Docs」といったグーグルのソフトウエアサービスが、企業をまたいだコラボレーションツールであることを強調した。

 また「クラウドコンピューティングのセキュリティ問題」に関してホロウィッツ氏は、「現在、企業のデータの60%はセキュリティ対策が施されていないパソコンに保存されている。しかも米国では、モバイルPCの10台に1台が購入から1年以内に盗難に遭っている」と、既存の企業情報システムもセキュリティがぜい弱である点を指摘。「情報を一元管理できるクラウドの方が、オンプレミス(自社運用型情報システム)よりも、より良いセキュリティの解決策を提供できる可能性がある」と訴えた。

 米グーグルのビル・ロッシ氏(エンタープライズマーケティング担当ディレクター、写真2)は、グーグルの企業向けサービスの現況を紹介。メールやWebブラウザで利用するコラボレーションアプリケーションをサービスとして提供する企業向けGoogle AppsがSLAで保証する月間稼働率が、今の99.9%から2010年には99.99%に向上する予定であることなどを明らかにした。

 グーグル日本法人の社長である辻野晃一郎氏(写真3)も講演で「日本でも近い将来、企業情報システムがすべてクラウドに移行すると確信している。我々グーグル社員もグーグルのコラボレーションツールを利用しているが、業務効率が大幅に改善した。キーワードは『カジュアル』だ。コラボレーションツールを活用することで、階層のないフラットな組織を実現し、迅速な経営判断とアクションが可能になる」と強調。従来からのインターネット広告ビジネスに加えて、企業向けのソフトウエアサービスの販売を強化する姿勢を見せた。

 グーグルが企業向け事業を始めて既に5年が経過する。現在は全世界で1000人以上のグーグル社員が企業向けサービス専従で働いている。GmailやGoogle DocsなどのGoogle Appsの顧客は200万社以上で、毎日3000社以上が新規の利用を開始しているという。また、企業向け検索アプライアンスサーバーである「Google Mini」や「Google 検索アプライアンス」の顧客は3万社以上、スパムメール対策やアーカイビングサービスの「postini」の顧客は5万社以上に達する。