アカマイは2009年11月4日,楽天が運営するインターネット・ショッピング・モール「楽天市場」にコンテンツ配信サービス向けのCDN(Contents Delivery Network)ソリューション「Dynamic Site Solution」を提供すると発表した。楽天市場に出店する約3万の店舗が使用する画像や動画の配信にDynamic Site Solutionを利用することで,サービスの安定性と信頼性を高められるという。またアカマイによると,今回の楽天市場へのサービス提供によって,世界の上位40社のEコマース・サービスすべてで,アカマイのソリューションが採用されることになったいう。

 楽天ではこれまで,インターネット銀行の「イーバンク銀行」や動画配信サービスを運営する「ショウタイム」などの子会社でアカマイのCDNを利用してきた。しかし,こうした子会社の事業と楽天市場では事業内容が異なり,利用する技術の性格も違うことから,子会社での利用実績をもってそのまま楽天市場での採用に踏み切れなかったという。

 その後「2008年に台湾でオープンした楽天市場で,当初日本からのアクセスに対してページの表示に時間がかかる,画像が表示されないといった問題が発生した。この対策としてアカマイのCDNを導入したところ,問題が劇的に解消した」(楽天 取締役 常務執行役員 開発部 部長の杉原章郎氏)という。これがEコマース事業における実績として評価され,今回の国内サービスにおけるアカマイのソリューション導入へと繋がったと説明した。

 コストの削減については,「具体的な金額は言えないが,導入時点で既にこれまでのシステム比でコスト削減が実現している。また今後増加が予測される通信量に対しても,自前のサーバーを導入するよりアカマイのCDNを利用した方が合理的という検討結果も出ている」(杉原取締役)と説明した。今後楽天では,顧客管理やユーザー認証に関するシステムなど,自社で運営しないとサービス向上が図りにくいものについては自社運営とする一方で,それ以外のデータ配信についてはアカマイのCDNを利用していく方針である。

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