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[ITpro EXPO 2009]「現実解」として企業での利用が始まっている---クラウドのパネル討論

写真●ITpro EXPO 2009のパネル討論会に登壇したマイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長大場章弘氏(左),セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 SE&サービス統括本部長の保科実氏(中),グーグル エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャーの藤井彰人氏(右)
写真●ITpro EXPO 2009のパネル討論会に登壇したマイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長大場章弘氏(左),セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 SE&サービス統括本部長の保科実氏(中),グーグル エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャーの藤井彰人氏(右)
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 2009年10月28〜30日に東京ビッグサイトで開催された「ITpro EXPO 2009」展示会の締めくくりとして,「現実解としてのエンタープライズ・クラウド〜広がるアプリと開発基盤の選択肢〜」と題するパネル討論会が開催された。マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長大場章弘氏,セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 SE&サービス統括本部長の保科実氏,グーグル エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャーの藤井彰人氏の3者が登壇(写真)。クラウド・コンピューティングの現状や課題について議論した。モデレータはITproの吉田琢也編集長が務めた。

 パネル討論の主題は,クラウド・コンピューティングを実際に利用したいと考えているユーザーが気になる点の解決策を明らかにしようというもの。登壇した3社とも,すでに情報収集の段階は過ぎ,業務への具体的な導入を真剣に検討し始めている企業が多い,という認識を披露した。

「以前からある機能でもクラウドになると使い方が変わる」

 マイクロソフトの大場氏は,Windows Azureについて「今使っているWindows環境と非常に近い環境をクラウドで実現できる。Officeなどの手持ちのソフトを必要に応じて組み合わせられる」と,同社が従来から主張しているソフトウエア+サービスの考え方を披露。Windows Server 2008 R2を使った「プライベート・クラウド」,Exchange OnlineやOffice SharePoint Onlineといった「クラウド型サービス」,同社のデータセンター上で提供する「パブリック・クラウド」などのリソースを「ユーザーに合わせて選択できる」とそのメリットをアピールした。

 外部のクラウドを活用するシナリオとしては,「自社で処理できないような膨大なデータを扱うシステム」として,旅行先で撮影した写真をインターネット上に保存可能にしているJTBの例を挙げた。

 セールスフォースの保科氏は,日本国内でもすでに2200社・67万ユーザーが同社のサービスを利用しているとした上で,郵便局や経済産業省,ローソン,損保ジャパン,甲府市といった具体的な導入ユーザー名を紹介。選択されている理由として「短期で開発できてメンテナンスしやすい点が評価されている」とした。

 具体的な例として,経済産業省のエコポイントのシステムを取り上げた。「時間的な余裕がなく,引き受けられるかどうかすぐに知りたいといって話がもちこまれた。要件さえ固まっていない状態で,国内ベンダーでは見積もりもできる状態ではなかった。だが,(セールスフォースでは)週末だけで可能かどうかかを検討して返答し,3〜4週間で実装した。結局,1500万人の利用を想定したスケーラビリティのあるシステムの開発作業を,4カ月で完了した」(保科氏)。

 グーグルは,すでに200万以上の企業ユーザー,600万以上の教育機関ユーザーが同社のGoogle Appsを利用していると紹介。国内のユーザーとしてはガリバーインターナショナルや東急ハンズの名前を挙げた。さらに,「企業ユーザーは毎日3000以上増加している」と,ユーザーが爆発的に増えていると公表した。

 藤井氏は,「Google Appsで提供している機能は,どれも昔からあるもの。だが,Gmailでメールの使い方が変わったように,以前からある機能でもクラウドになると使い方が大きく変わる。例えば,1つの表をチームで変更する際に,各自が自分のパートを自由に直せばよく,今までのようにメールにファイルを添付して担当者の中で回覧するという作業の流れが必要なくなる。こうしたイノベーションが起こる」とクラウドの効果をアピール。また,Google App Engineを利用している例として横浜YMCAを紹介。「大企業ユーザーのように作り込みが必要となるとGoogle App Engineを利用する」(藤井氏)と分析した。

信頼性に関して3社でスタンスが分かれる

 登壇した3社でスタンスの違いが浮き彫りになったのは,システム信頼性の要件に対する部分だった。

 マイクロソフトの大場氏は「使うユーザーにそういう心配をさせる可能性をゼロにするのがAzureの設計思想」と,サービスを提供するマイクロソフトの努力でカバーするべきものとした。

 セールスフォースの保科氏は,「基本的にSLA(サービスレベル・アグリーメント)という概念は特別に持っていない」と語った。といっても,もちろん信頼性が低いといっているわけではなく,「郵便局のような大規模なものから個人まで全員に同じサービスを提供しており,特定のユーザーだけ区別してSLAを結ぶということはしていない」という意味だという。

 グーグルの藤井氏は,「自社のシステムのほうが信頼性が高いというならグーグルを使わずに,そのまま自社のシステムを使ってもらえばいい。それこそグーグルの提供する“信頼性”だ」と信頼性への自信を見せた。

(根本 浩之=ITpro)  [2009/11/01]
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