[ITpro EXPO 2009]IFRS対応は3段階で進めるべき---2大ERPベンダーがパネル討論「国際会計基準(IFRS)への対応に向け,3段階に分けて準備すべき」---。ITpro EXPO 2009展示会の最終日となる2009年10月30日,「ERPは経営に貢献できるか ---IFRS対応を見据えて」と題するパネル・ディスカッションが開かれ,すでにIFRS対応している大手ERPベンダー2社がユーザー企業に取り組み方をアドバイスした。パネリストとして登壇したのは,SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部副本部長の桐井健之氏と,日本オラクル アプリケーション事業統括本部担当ディレクターの桜本利幸氏。モデレータは日経コンピュータの島田優子記者が務めた。 はじめに,「IFRSが情報システムに与える影響の範囲」について両氏に聞いた。SAPの桐井氏は,連結財務諸表をIFRSに合わせる必要があるため,当然ながら連結会計のレポーティングに関連するシステムに影響があるとした。だが,「ややもすると,IFRSの影響範囲はそこだけだと思われがち」と注意を促す。 例えば,「収益認識(収益として計上するときに満たすべき要件や考え方)」が変わったり,日本の損益計算書重視からIFRSの貸借対照表重視に変わったりする。収益認識が変われば業務プロセスにまで影響は及ぶ。その結果,受注システムを変更する必要が出てくる。IFRS対応の決算とは別に,国内の税法に準拠した決算の仕組みも持たなければならない。連結財務諸表を作成する際に,子会社のIFRS対応を並行して進めなければならない点も重要である,と桐井氏は指摘する。 日本オラクルの桜本氏も同じ意見で,影響範囲を(1)連結システム,(2)一般会計システム,(3)業務システム(人事,販売管理など)という3つの領域に分類できるとした。 影響範囲ごとに分けて導入ステップを考えるでは,企業はIFRSにどう対応すべきなのか。情報システムをどのような手順で更新していけばよいのだろうか。この問いに日本オラクルの桜本氏は,「教科書的な解答はなく,各企業が置かれた状況や経営判断による」としながらも,前述した3つの影響範囲に呼応する導入ステップを示した。 第1に,IFRS対応の連結パッケージを導入して,とりあえず連結財務諸表を作成できるようにする,という段階。「国内でしか事業をしていない企業なら,ここまでの対応だけでも構わないだろう。しかし,グローバルに事業展開をしている,あるいは展開したいと考えているなら,次のステップも実施すべき」(桜本氏)。第2,第3のステップでは,それぞれ一般会計システムと関連業務システムについて,グローバルで標準化しながら導入することを勧めた。「最終的には,単一のシステムを世界中の子会社から共有する“グローバル・シングル・インスタンス”を目指すべきだ」(同)という。 SAPの桐井氏は,日本企業より短期間でのIFRS対応に迫られ,既に導入を終えた欧州企業の例を基に,情報システムの対応方法を紹介した。桐井氏によれば,強制適用される連結のレポーティングだけは,どの企業も対応した。だが,やはりグローバル企業はこれだけで終わらなかったという。IFRSの導入を機に,影響を受ける業務プロセスをグローバルで標準化しようとしている。これにより,意思決定を速くしたり,投資効率を高めたりすることで,他社との差異化を図ろうとしているのだ。 一方,日本の上場企業は,監査法人と話をするなど,何らかの準備をすでに始めているという。「そのうち7〜8割は,具体的にプロジェクト・チームを立ち上げ,アセスメント・サービスを受けている。さらに各業界のトップ企業は,IFRS対応の会計マニュアルを作って,情報システムへの影響,投資効果を分析しているところ」と桐井氏は国内の進捗状況を語った。 キーワード
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