写真●日経BP社 ITproの高橋秀和記者
写真●日経BP社 ITproの高橋秀和記者
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 ITpro EXPO展示会の主催者企画「Windows 7 Touch & Tryシアター」では毎日,Windows 7に関連した数多くの講演が行われている。2009年10月30日の主催者講演には,日経BP社 ITproの高橋秀和記者が登壇。「Windows 7は本当に「軽い」のか?ベンチで理解する改善点」と題して講演した(写真)。

 マイクロソフトが10月22日に発売した最新OS「Windows 7」の売り物の一つは,操作時の“速さ”である。では,本当に速いのか?---高橋記者は,Windows 7と従来OSの速度差を計測したベンチマーク・テストの結果から,新OSの速さを考察した。その結果を基に,「Vistaを切り捨てるのはまだ早い」と主張した。

 まず,高橋記者は,Windows 7とWindows Vistaについて,PCの総合ベンチマーク・ソフト「PCMark Vantage」で計測した結果を示した。PCMark Vantageは,32ビットと64ビットの両モードを切り替えて測定できるベンチマーク・ソフトである。

 PCMark Vantageを使って,Windows 7およびWindows Vistaの32ビット版,64ビット版のそれぞれの計測結果を比較すると,「たしかにWindows 7の体感速度がVistaに勝っている」(高橋記者)。

 次に,Windows XPを加えた3製品を比較した。3製品に対応したベンチマーク・ソフト「PCMark05」で速度差を計測した結果,「XPが突出して速かった」(高橋記者)。2位はWindows 7,最下位はVistaだった。「Windows 7が速くなったと感じるのは,Vistaが遅かったためのようだ」(同)。

 PCMark05のベンチマーク・テストでは,特にWebレンダリングの速度について,Windows 7のほうが大幅にVistaを上回った。この理由について高橋記者は,「Windows 7は,グラフィック表示をコントロールするGDI(Graphics Device Interface)からの命令を並列処理できるが,Vistaはできない。そのため,グラフィック周りの処理に速度差がつくのだろう」と説明した。「グラフィックの表示速度は,PCの体感速度に大きく影響する。そのため,Vistaユーザーからすると,Windows 7はとても速くなったと感じるだろう」(高橋記者)。

 しかし,「Vistaを切り捨てるのはまだ早い」(高橋記者)。米マイクロソフトは10月27日に公式ブログで,VistaがWindows 7向けに開発された2D/3Dグラフィック用ハードウエア・アクセラレーションをサポートすると発表した。時期は未定だが,これが実装されれば,Vistaのグラフィック表示速度が改善される可能性がある。「今後,Windows 7向けに開発された新機能が,どんどんVistaにバックポートされて行く可能性がある。今こそ,Vistaを見直す時期かもしれない」(高橋記者)。