写真●シマンテックの加賀山進社長
写真●シマンテックの加賀山進社長
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 「増え続けるリスクに対処するためには,サーバーやクライアントPCなどデバイス単位ではもはや守れない。“情報”そのものの中身を見て管理し,保護せざるを得ない」---。東京ビッグサイトで開催しているITpro EXPO 2009展示会で,2009年10月29日の特別講演に登壇したシマンテックの加賀山進社長は,このように述べた(写真)。

 加賀山社長は,現在のIT分野で起こっているトレンドとして6項目を挙げる。(1)リスクの増大,(2)クラウド化の進展,(3)増え続けるストレージ,(4)多様化するエンド・ポイント,(5)ITのコンシューマ化,(6)IT予算の削減,である。

 (1)のリスクの増大では,「過去12カ月に発生した脅威は,過去20年の合計よりも多く,指数関数的に増えている」と指摘。従来とは違い,気づかれずに重要データを外部に持ち出すようなケースが増えていると続ける。

 さらに,(3)の増え続けるストレージについて,年1.6倍の割合で世界の蓄積データが急拡大している事実を紹介。従来のようにサーバーやクライアントPCなどのデバイス単位で,増え続けるデータを様々な脅威から守ることが,負荷の面からも難しくなっているとする。

 こうした状況に対処するために加賀山社長は,同社が米ベリタスを買収したことによって2年ほど前から展開を始めたソリューションを紹介した。ファイルの中身を見て情報を管理・保護できるようにするというものだ。

 例えば,メールに添付したファイルの中身を検査して,ポリシーに反していないかを調べる。この仕組みを使うと,顧客データのような持ち出し禁止ファイルを誤ってメールに添付した場合に,その操作を中止したり,社員にアラートを出すことが可能になるという。「大事なデータとそうではないデータを中身を見て管理する。これによってメリハリをつけてデータを守れる」(加賀山社長)。

 加賀山社長は,最後に(2)で挙げたクラウド化の進展について触れた。「実はシマンテックは,42ペタ・バイトのマーネジド・ストレージを提供する世界最大級のストレージ・サービス・プロバイダ。セキュリティの重要性が増すクラウドの分野にも力を入れている」(同)と同社の取り組みをアピールした。