日本IBMは2009年10月29日、「IBM Global CIO Study 2009」の調査結果を発表した。調査結果で目を引くのは、「日本のCIOは、今後3年間でIT部門は多大な変化が必要である」「ITを専門に担当する役員が、世界には69%いるのに対し、日本では27%である」といったものだ。IBM Global CIO Studyは、高成長企業のCIO(最高情報責任者)の行動様式や、今後の投資分野などを調べたもの。世界と日本のCIOの調査結果を比較している。

 日本にIT専任の役員が少ないことについて「海外はCIOに必要とされるスキルが確立している一方で、日本は明確になっていない。これはシステムに限ったことではなく、経理・財務担当のCFO(最高財務責任者)でも同じ傾向がある」。IBMビジネスコンサルティング サービス ビジネス・イノベーション・サービスの加藤陽一パートナーはこう説明する。日本では、IT専任担当の上級管理職が最高情報責任者になっているケースが50%弱と多い。世界では約20%である。

 IBM Global CIO Study 2009では、将来の重点テーマについても世界と日本の比較している。日本を含めた世界のCIOが、「BI(ビジネスインテリジェンス)と分析」や「仮想化」を重視していることが分かった。

 世界と日本で異なる結果になったのが「セルフサービスポータル」、「コラボレーションとソーシャルネットワーキング」、「全社横断的な人材開発」、「クラウドコンピューティング/SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」だ。「セルフサービスポータル」は、世界で66%のCIOが重点テーマに挙げているのに対して日本は34%、「コラボレーションとソーシャルネットワーキング」は世界が55%に対して日本は35%だった。

 一方、日本が高かったのは、「全社的横断的な人材開発」と「クラウドコンピューティング/SaaS」だ。人材開発は世界が48%に対して日本は59%、クラウドコンピューティング/SaaSは世界が33%に対して、日本は50%だった。IBM Global CIO Study 2009は日本を含めた78カ国19産業のCIO(最高情報責任者)に対面調査を実施。日本からは162人が参加した。調査時期は2009年1~4月である。