写真●「iPhoneショック」「Twitterの衝撃」の著者である林信行氏
写真●「iPhoneショック」「Twitterの衝撃」の著者である林信行氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「iPhoneショック」「Twitterの衝撃」の著者である林信行氏(写真)は10月29日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の「ITpro EXPO 2009」で「Twitter×iPhoneが切り開く新しい世界」と題して講演した。林氏は、「日本のモバイルTwitterユーザーのうち6割がiPhoneを利用しているという。Twitterがモバイル環境でも使えるようになったことで、ライフログのツールとして発展していく可能性が見えてきた」と、Twitterの用途の広がりを指摘した。

 林氏は、Twitterを「究極のポータルサイトだ」と表現する。Twitterは、個人が“つぶやき”を投稿したり閲覧したりできるようにするサービス。投稿できるつぶやきは,1件当たり最大140文字までだが、林氏は「URLの情報を付加することで、Twitterを介してあらゆるサービスにアクセスできるようになる」と話す。自分の近況をまとめたブログのURL、YouTubeのような動画共有サイトにアップロードした動画のURL、気になるニュースのURLなどをTwitterに投稿すれば、投稿されたつぶやきを読んだ別のユーザーが直接、そのURLにアクセスするようになる。「Webサイトのトップページはもはや意味をなさない」と、林氏は指摘する。

 林氏は、グーグルやヤフーといった既存の検索サービスの代わりに使うことも可能だという。例えば、「京都に出かけるが、いいバーはありませんか」とTwitterでつぶやくと、別のユーザーから京都のバーの情報を教えてもらうことができる。「同じ情報はグーグルでも検索できるが、Twitterは生身の人間が最新の情報をリアルタイムに提供してくれる」と、大手のネット検索サービスとの違いを強調した。140文字という制限が、逆にこうした用途を広げる可能性が高い。林氏は、「多くの情報を盛り込めない長さなので、ユーザーは身構えることなく気軽に反応できる」と、Twitterならではのメリットを挙げた。

 既存のネットサービスを飲み込みながら利用範囲を広げているTwitterだが、iPhoneと組み合わせることで用途が一段と拡大している。冒頭に挙げたライフログである。ライフログとしての利用を促進するツールも、数多く登場している。iPhoneのカメラ機能を使って写真を簡単に投稿できるようにした「Tweetie2」、iPhoneのマイク機能を使って音声を簡単に投稿できる「TweetMic」、iPhoneのGPS機能と連携して半径2km以内のユーザーのつぶやきだけを表示できる「Brightkite」などのツールを、林氏は次々と紹介した。

 林氏は、TwitterとiPhoneの組み合わせがもたらす「半歩先の未来」についても言及した。一つはクラウドコンピューティングとセンサーとの連携だ。林氏が挙げた一例は、植物とのコミュニケーションを実現するサービス「botanicalls」。あらかじめ植木鉢にセンサーを差し込んでおき、センサーが収集した水分などの情報を基にして、植物の“気持ち”をつぶやきに変換してTwitterに投稿する。「もはやTwitterでコミュニケーションする相手は人間だけではない」と、林氏は話す。もう一つの半歩先の未来は、拡張現実の実現である。一例が「セカイカメラ」と呼ぶアプリケーション。目の前の景色をiPhoneのカメラを通して眺めると、別のユーザーがTwitterに投稿した、目の前の風景に関係した情報がiPhoneの画面上に表示される、というものだ。

 用途が広がっているTwitterだが、使ったことのないユーザーがいきなりつぶやきを投稿するのは抵抗がある。林氏は「まずはRSSリーダーの代わりに利用してみてはどうか」と推奨する。「ニュースサイトのヘッドライン、地震情報の速報、お気に入りの芸能人や話題の有名人に関する情報など、何でもいい。こうした情報をタイムラインで眺めているうちに、自然とつぶやきが出てくるようになる」と、立ち見が出るほどの聴衆に向けてTwitterの使い方を指南した。

■変更履歴
第1段落のコメント中、「日本ではiPhoneユーザーの6割がTwitterを利用しているという」と記述していましたが、正しくは「日本のモバイルTwitterユーザーのうち6割がiPhoneを利用しているという」でした。また、第1段落の「世界カメラ」は、正しくは「セカイカメラ」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/10/29 23:25]