WFP(世界食糧計画)日本事務所は2009年10月28日、携帯電話を利用した食糧引き換えプロジェクトをシリアで開始すると発表した。イラク人難民1000世帯を対象にする。WFPによれば、携帯電話を食糧支援に利用するのは世界でも初めてである。

 南アフリカの携帯電話事業者MTNがSIMカードを無償で難民に提供する。支援を受ける難民は、携帯電話機を入手すれば電話やメールなどのサービスを利用できるようになる。WFPはSMS(ショート・メッセージ・サービス)を使って、難民にデジタルクーポン券「仮想食糧引換券」の暗証コードを送信する。

 難民は、政府が指定する店で携帯電話に表示される仮想食糧引換券を提示し、米や小麦、チーズ、卵などと交換する。引換券の範囲内であれば、好きな食品を選べるようになる。卵やチーズといった、WFPが供給できていない食品も入手可能になるという。

 WFPは1人あたり22ドル分の食糧引換券を、2カ月おきに提供する。残高データなどはWFPが構築する情報システムが管理しており、SMSを使って携帯電話に配信する仕組みである。

 最初の4カ月間は、同プロジェクトを試験的に実施し、延長するかどうかを検討する。WFPはシリア政府と共同でこのプログラムを実施する。