写真●NTT-ATのブースのデモ。司会進行役の女性が,通信機器に接続されたハイビジョン(HDTV)映像のモニターを介して来場客の代表者とジャンケンをする
写真●NTT-ATのブースのデモ。司会進行役の女性が,通信機器に接続されたハイビジョン(HDTV)映像のモニターを介して来場客の代表者とジャンケンをする
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 東京ビッグサイトで2009年10月28日に始まった「ITpro EXPO 2009」において,NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)のブースが一風変わったデモを披露している。デモの途中で司会進行役の女性が,通信機器に接続されたハイビジョン(HDTV)映像のモニター越しに,来場客の代表者とジャンケンをしてみせるのだ。

 当然ながらこのジャンケン,ただ遊んでいるわけではない。NTT-ATが出品したHDTV映像IP伝送装置「RealFeel XG-2」の性能の高さをアピールするためのものである。

 XG-2の特徴は,HDTV映像データを圧縮せずにそのままIPカプセル化して伝送できること。必要帯域は1.6Gビット/秒にもなるが,圧縮/伸長処理をしない分,遅延なくほぼリアルタイムで伝送できる利点がある。実際に今回のデモ環境では「1ミリ秒以下の遅延でハイビジョン映像をやり取りできている」(NTT-ATの山本裕一ネットワーク事業本部トランスポートシステムビジネスユニット主任)。

 このため,通信機器を介した映像にもかかわらず,あたかも面と向かっているかのように,遅延によるタイミングのずれを感じずにジャンケンができるわけだ。同社によれば,違和感がなくジャンケンができるほどの低遅延のHDTV映像IP伝送装置はRealFeel XG-2だけだという。

 NTT-ATはXG-2の主な用途として,非圧縮の高精細な映像を送れるという特徴を生かせる分野,具体的にはデザインの精密性を要求するアパレル業界での遠隔会議や,医療機関での遠隔手術の指示などを想定している。XG-2の価格は,1台当たり367万5000円。実際に利用する際には拠点ごとにXG-2が必要となるほか,液晶テレビやカメラなどを別途用意する必要がある。