写真1●IPv6ハンズオンセミナーで講義するアリス・グループ・ジャパンの友松和彦・事業開発本部SE担当部長
写真1●IPv6ハンズオンセミナーで講義するアリス・グループ・ジャパンの友松和彦・事業開発本部SE担当部長
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写真2●会場に持ち込まれたハンズオン用のCATVネットワーク機材。手前がCMTS,奥(机上)がケーブル・モデム
写真2●会場に持ち込まれたハンズオン用のCATVネットワーク機材。手前がCMTS,奥(机上)がケーブル・モデム
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 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース(枯渇対応TF)は2009年10月22日から2日間,大阪市のブロードバンドタワーで実機を用いた演習形式のセミナーを開催した。IPv4アドレスの枯渇に伴い,インフラやサービスを支える技術者はIPv6への移行ノウハウを習得する必要性が高まってくる。このセミナーはネットワークにかかわる広範な技術者に,IPv6移行ノウハウを身に付けてもらう場という位置付けである。

 今回大阪で開かれたのは,「IPv6ハンズオンセミナー(IPv6オペレータ育成プログラム)CATVネットワークARRIS編」と題した,CATV事業者のオペレータ向けの内容。CATV機器ベンダーであるアリス・グループ・ジャパンの友松和彦・事業開発本部SE担当部長が講師を務め(写真1),8名のオペレータが受講した。

 セミナー1日目の題目は,座学とハンズオンの一部。座学では,まずIPv6アドレスの種類やフォーマット,DHCPv6によるアドレス割り当てについて確認。次に,CATVインターネットの標準規格であるDOCSIS(data over cable service interface specifications)3.0におけるIPv6対応を解説した。話題の一つは,ケーブル・モデムのプロビジョニング(初期設定)時にIPv6アドレスを割り当てる方法。(1)MDDというDOCSISのメッセージでIPv6を使うよう動作モードを決め,(2)ケーブルラボの「DHCPv6 vendor-specific information option:Enterprise Number=4491」という文書で規定したDHCPv6のオプションを利用し,(3)DHCPv6でケーブル・モデムにIPv6アドレスを配る-―という決まりがある。

 座学のあと,会場に持ち込んだ講習用のCMTS(cable modem termination system)装置やケーブル・モデムを使ったハンズオンを実施した(写真2)。初日の内容は,IPv4とIPv6のそれぞれについて,CMTSの上流側とケーブル・モデム側のインターフェースを設定。さらにIPv4のプロビジョニング用DHCPサーバーを設定し,ケーブル・モデムにIPv4アドレスを割り当てるところまで。その他の設定は2日目に行われる。受講者は,設定資料をめくり,講師の友松担当部長や枯渇対応TFのメンバーなどアシスタントのアドバイスを受けながら,ハンズオンの課題に取り組んだ。

 1日目を終えて,受講者からは「IPv6の基礎の復習になった」,「IPv6でCMTSを扱うセミナーはあまりないのでいい機会だった」との感想が聞かれた。友松担当部長によると,ハンズオンで8名は大人数な方だという。ハンズオンでは準備設定の関係でうまく動かない場面があったが,「このような現実に起こり得ることに対して,その場で(状況をオペレータに)解説できたのはハンズオンのメリットが出ていてよかったのではないか」(友松担当部長)。IPv6ハンズオンセミナーはCATV向け(大阪はアリス・グループ・ジャパン,東京はシスコシステムズ)のほかインターネット・データセンター,サーバー,ISP(プロバイダ),SOHO/一般ユーザーなど,受講対象を分け実施中。今年度中にそれぞれあと1回開催予定がある。