写真1●ACCESS DAYでは「次世代ケータイはどこへ向かうのか?」との議題でパネルディスカッションが行われた
写真1●ACCESS DAYでは「次世代ケータイはどこへ向かうのか?」との議題でパネルディスカッションが行われた
[画像のクリックで拡大表示]

 2009年10月22日に東京都内で開催された「ACCESS DAY 2009」で,通信事業者の幹部によるパネルディスカッションが行われた(写真1)。参加したのは,NTTドコモ プロダクト部長の永田清人執行役員,KDDIコンシューマ商品統括本部長の高橋誠取締役執行役員常務,ソフトバンクモバイル プロダクト・サービス本部長の吉田雅信氏常務執行役員,ウィルコムの近義起執行役員副社長,ACCESSの鎌田富久社長兼共同CEOの5人。

 司会者からの「iPhoneやAndroidなどのグローバル・プレーヤとどう闘っていくか」という問いに対し,KDDI高橋氏とNTTドコモ永田氏との間で意見の一致を見たのが「トータル・コーディネーション力が勝負を決める」ということだ。具体的には,顧客のライフ・スタイルに合った端末とサービスをパッケージ化して届ける能力を指す。「iPhoneはアップルというメーカーがコーディネートした端末と見ることができる」(高橋氏)。これまで,携帯電話事業者しかこうしたコーディネーションはできなかったが,「iPhoneの登場はこうしたコーディネートが様々なプレーヤに広がっていくことの現われ」(同)であるという。

 また,開発プラットフォームのオープン化については,「外部の技術をうまく取り込みながら,ここに味付けをし,トータル・コーディネートすることが重要になる」と永田氏は語る。これまで「日本の携帯電話事業者がやりたいことを実現できる技術がなかったために独自で作ってきた部分がある。これからは,外部の技術をうまく使っていかないとユーザーやアプリケーション開発者から見捨てられる」(永田氏)とした。一方で,すべてをオープンなもので固めることへの不安も口にした。「すべてを輸入したソフトウエアで固めると,日本国内のパートナーとのエコシステムが壊れてしまい,日本国内に何も残らなくなってしまう」(同)というわけだ。

 ソフトバンクモバイルの吉田氏は今後の携帯電話の進化の方向性について,「携帯電話のCPUのクロックは既に1GHzに達しており,デュアルコア化も見えてきている。将来,人間の脳の処理能力を超えるようなパワーが携帯電話に入ってくることを考えた戦略作りが必要になる」と語った。またウィルコムの近氏は,今後の携帯電話事業者の生き残る道について,「固定通信では通信容量が途方もなく増大したために通信料金が劇的に下がってしまった。無線システムは有限な電波を使うため通信速度も有限。有限の資源である金や石油のように,希少価値を持つ可能性があり,ここにチャンスがあるかもしれない」と話した。