写真1●米VMwareのジョセリン・ゴールドフェイン氏(デスクトップ事業部門担当バイスプレジデント)
写真1●米VMwareのジョセリン・ゴールドフェイン氏(デスクトップ事業部門担当バイスプレジデント)
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写真2●PCoIPによって仮想デスクトップ上の動作を再生するデモ
写真2●PCoIPによって仮想デスクトップ上の動作を再生するデモ
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写真3●CVP(Client Virtualization Platform)を使った3Dグラフィックス・アプリケーションのデモ
写真3●CVP(Client Virtualization Platform)を使った3Dグラフィックス・アプリケーションのデモ
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 仮想化ソフトウエア・ベンダーのヴイエムウェアが開催した「VMware Virtualization Forum 2009」で2009年10月21日,米VMwareのジョセリン・ゴールドフェイン氏(デスクトップ事業部門担当バイスプレジデント)およびラグー・ラグラム氏(サーバー事業部門担当バイスプレジデント)が登壇して「テクニカルキーノート:携帯電話からクラウドまで,仮想化の未来を語る」と題して講演した。

 ゴールドフェイン氏(写真1)は,セキュリティ向上やコスト削減のために利用されてきたデスクトップ仮想化は,さらに発展して「将来,デスクトップは,クラウド上で稼働するようになる」として,2009年内に出荷予定のデスクトップ仮想化ソフトウエアの次期版「VMware View 4」で採用する新技術を披露した。

 まず,PCoIP(PC-over-IP)というプロトコルについてView 4の開発途上版を用いて動作の様子を示した。PCoIPは,サーバー上のデスクトップ環境へネットワーク経由でアクセスするとき利用するプロトコル。デモでは,流れる川の上を進むカヌーの動画を示して,従来のプロトコルよりも動画再生に優れることをアピールした(写真2)。低帯域の回線ではブロックノイズが出るが,動画を一時停止してデータをためるとノイズが消えるようになる。カナダTeradiciと協力してハードウエア・ベースの実装も計画している。

 併せて,VMware View 4で強化するオフライン・デスクトップ機能についてのデモを行った。デスクトップ仮想化環境は,サーバー上にある仮想PCへオンラインでアクセスする仕組みだが,オフライン・デスクトップ機能を使うと,ネットワークが切れてもデスクトップが利用できる。サーバーにある仮想PC環境をクライアントにダウンロードして,クライアントの仮想化ソフトウエア上で動作させる。

 同機能は,VMware View 3ではPC用仮想化ソフトウエアを使うものだった。これを改めて,開発コード名で「CVP(Client Virtualization Platform)」というハイパーバイザーによるものに変更する。ホストOSが不要になり,管理およびパッチの適用を軽減する。3Dグラフィックス・アプリケーションを動作させてもオーバーヘッドが小さいという(写真3)。

 このほか,Wyse TechnologyのWyse PocketCloud for iPhoneを利用して,iPhoneから仮想化したデスクトップへアクセスする様子や,仮想化して複数のOSが動作する携帯電話についてデモを行った。

 また,ラグー・ラグラム氏は,サーバー仮想化ソフトウエア製品およびクラウド・コンピューティング関係の講演を行った。VMwareが推進するVMware vCloud Initiativeでは,業界標準技術を利用することで,アプリケーションを書き直す必要がないことをアピールした。全世界ではAT&Tを含む約1000のサービス・プロバイダがvCloud Initiativeのパートナーになっているという。