第8回北東アジアOSS推進フォーラム
第8回北東アジアOSS推進フォーラム
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 日本OSS推進フォーラムと独立行政法人 情報法処理推進機構(IPA)は2009年10月20日,第8回北東アジアOSS推進フォーラムを開催した。北東アジアOSS推進フォーラムは日中韓3国の官民によるオープンソース・ソフトウエア(OSS)推進団体が共同で開催する会議。2003年から日本,中国,韓国を会場に開催されている。第8回となる今回は東京で行われた。

 会議では3国の行政担当者と,OSS推進団体のトップがOSSの活用状況や推進政策を紹介した。また3国の協力により進められているOSS開発や人材育成,標準化の成果が報告された。

OSSがベースとなる新しいトレンド

経済産業省 商務情報政策局長 石黒憲彦氏
経済産業省 商務情報政策局長 石黒憲彦氏
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日本OSS推進フォーラム 代表幹事 NEC 代表取締役社長 矢野薫氏
日本OSS推進フォーラム 代表幹事 NEC 代表取締役社長 矢野薫氏
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 日本の経済産業省 商務情報政策局長 石黒憲彦氏は「東京証券取引所,法務省がLinuxの採用を決定しており,Rubyの作者まつもとゆきひろ氏や,Perlの貢献者に贈られるWhite Camel Awardを受賞した宮川達彦氏など,世界で活躍するオープンソース・ソフトウエアのリーダーが出てきている」と日本のOSSの広がりを紹介。日本政府のOSSに関する政策として「IPAにオープンソフトウェアセンターを設置し,政府としてはオープンスタンダードに基づく情報システムの調達を進めている」と取り組みを解説した。

 日本OSS推進フォーラム 代表幹事を務めるNEC 代表取締役社長 矢野薫氏は「Gartnerによれば2008年の世界OSS市場規模は260億ドル(約2兆40000億円)。2012年には770億ドル(7兆円)に達すると予測している。OSSはミッションクリティカルなシステムや情報家電に搭載され,OSSは現代社会においてなくてはならない存在になっている」と指摘。「一社で研究開発を行うのではなく,社外から広く知識を集めるオープンイノベーションは,これからのスタンダードになる可能性がある。OSS推進フォーラムは,オープンイノベーションを生み出す場になる。OSSの普及促進だけでなく,OSSがベースとなる新しいトレンドに活動を広げていく。クラウド・コンピューティングを支えるOSSの相互運用性調査などの取り組みを始めている」と語った。

中国フリー・ソフトウエア・デイに2万5000人が参加

中国工業和信息化部 局長 Zhao Xiaofan氏
中国工業和信息化部 局長 Zhao Xiaofan氏
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中国OSS推進連盟 主席 LU Shouqun氏
中国OSS推進連盟 主席 LU Shouqun氏
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 中国工業和信息化部 局長 Zhao Xiaofan氏は「中国のOSS市場,コミュニティは拡大しており,中国政府としてOSS人材の育成に取り組んでいる」と述べ「昨日の日中韓局長会談で,3国で協力していくことを確認した」と,日中韓連携の継続を表明した。

 中国OSS推進連盟 主席 LU Shouqun氏は,「中国のLinux OS市場は約3億2000万元(約43億円)で,2007年の約2億8000元から約16%増加した。新しいプレイヤーが参入しており,ZTEやHauweiがGoogleのAndroidをベースとしたスマートフォンを発売した」(LU氏)と中国の現状を報告。中国ではOSS人材の育成に力を入れており「36のLinuxセンターが中国政府教育部によって設立され,50あまりの大学でLinuxの正式カリキュラムが設置されている」と紹介。コミュニティ活動も盛んになってきており「少なくとも226のOSSコミュニティが存在し,2009年9月19日に行われた第6回中国フリー・ソフトウエア・デイには2万5000人が参加した」(LU氏)という。