総務省が見直しを進めていた2009年度補正予算の見直し結果が2009年10月16日に報告された。全体では3954.5億円の補正予算額に対し,1174.7億円が削減された。削減率は29.7%になる。

 通信関連で最も削減額が大きかったのが,「新たなワイヤレス・ブロードバンド環境を早期に実現するテストベッドの整備」で,予算198.1億円に対して158億円(79.8%)が削減された。また,ICTの活用により安心安全な地域作りを目指す「ユビキタスタウン構想推進事業(地域ICT利活用推進交付金)」は予算195億円に対して,76.4億円(39.2%)が削減された。ユビキタス特区事業(ICT経済・地域活性化基盤確立事業)は44.9億円の予算に対して,9.4億円(21%)が削減された。

 一方で,地方のデジタルデバイド解消関連の予算削減額は微減だった。例えばブロードバンドゼロ地域の解消のために自治体対して光ファイバーなどの敷設を補助する「ブロードバンドゼロ地域の解消(地域情報通信基盤整備推進交付金)」は予算433.2億に対して削減額は16.9億円(3.9%)に止まった。地方における携帯電話の圏外解消のための交付金「携帯不感エリアの解消加速(地域情報通信基盤整備推進交付金)」も予算332.6億円に対して,削減額は3億円(0.9%)と微少で,同様の補助金「電波遮へい対策事業費補助金」は予算100.3億円に対して削減額はゼロだった。

 IT関連では,クラウドコンピューティング関連で差が出た。「クラウドテストベッド環境(次世代クラウド・シミュレータ)の構築」(予算90億円)が全額削減だったのに対し,「自治体クラウドの開発実証」(予算20億円)や「セキュアクラウドネットワーキング技術の研究開発」(予算31.4億円)は削減されなかった。

 このほかには,国民がインターネット経由で証明書発行や行政の手続きができるシステムの構築を目指す「国民電子私書箱関連ネットワーク基盤確立事業」(予算30億円),「新しい公的個人認証システムの開発実証」(予算77.9億円),「情報通信研究機構における省エネルギー対策推進」(予算35億円),地上テレビジョン放送のデジタル化によって空くVHF帯の一部を使う自営通信の「公共ブロードバンドシステムの早期導入のための実証実験」(予算19.3億円)は全額削減された。