写真1●モトローラがジュネーブ市内で実施したTD-LTEの走行デモ
写真1●モトローラがジュネーブ市内で実施したTD-LTEの走行デモ
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写真2●走行車両からブース内の映像を受信
写真2●走行車両からブース内の映像を受信
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 ITU TELECOM WORLD 2009の会場で目立つのが,次世代モバイル技術「TD-LTE」の展示だ。LTEのTDD(Time Division Duplex)版であり,中国移動が2010年にも導入を目指している。加入者が5億人を突破した中国移動の市場を求めて,メーカーが競いあっている構図だ。

 そんな中,米モトローラは中国移動と協力して,ジュネーブ市内に基地局を2台設置し,TD-LTEの走行デモを実施している(写真1)。モトローラはTELECOMの会場に展示ブースを設けていないが,「ブース展示よりも中国移動との関係を発展させるほうが重要」(モトローラ)とのことだ。

 加えてモトローラは,ITU TELECOMに多く来場している政府や規制機関の関係者に対し,TD-LTEが実際に動作している様子を見せて,TD-LTE向けの周波数配分を世界の多くの地域で広げることも狙っているという。

 デモでは2.6GHz帯の20MHz幅のTDDバンドを使い,2×2 MIMOの構成で実施。走行車両から中国移動のブース内に設置したカメラの映像を受信する様子を見せた(写真2)。スループットは80Mビット/秒弱出ており,スムーズな映像を受信していた。ただ基地局を切り替えるハンドオーバー時には一瞬,映像が乱れた。

 「TD-LTEのデモは今回が初めてであり,まだ技術的な課題はたくさんある」とモトローラの説明員は話す。2010年5月に開催される上海国際博覧会でも実験を実施予定で,ここではより完成度を高めたデモを見せたいという。