日立製作所は,2009年10月6日から幕張メッセで開催中の展示会「CEATEC JAPAN 2009」で,超解像技術を動画像の高能率符号化(データ圧縮)に応用したデモを実施している。同社が,現在規格の策定が進むH.265に向けて提案している技術である。
提案技術は大きく二つから構成する。一つは,画像サイズの縮小による情報量の圧縮である。符号化側で画像サイズを圧縮し,情報量を大きく削減する。復号側では見た目の画質を損ねずに画像サイズを拡大する。超解像技術を応用することで可能になる。
もう一つは,フレーム内の一部を間引きを行い,情報量を圧縮する。復号側では,間引いた部分を動き探索により補完する。
標準化済みの動画像圧縮技術の中で圧縮率が最も高いのが,H.264(MPEG-4 AVC/H.264)である。現在はさらに高圧縮化の達成に向けてH.265の議論が進んでおり,ここに採用を働きかけている技術という。カメラによる監視システムなど,閉じたシステムでは,標準化を待たずに実用化することも可能である。
提案方式は,MPEG-2による符号化データ速度20Mbpsと同等の主観評価を得る画質を得る映像データを,2Mbpsで実現したという。つまり,圧縮率が10倍ということを意味する。H.264と比較しても,数倍というレベルになる。「符号化に必要となる処理能力はH.264とそれほど変わらず,はるかに高い圧縮率を得られる」(説明員)と,提案技術に強い自信を示していた。