写真●日本ヒューレット・パッカードの“クラウド専用”端末「HP t5730wi Internet Appliance」
写真●日本ヒューレット・パッカードの“クラウド専用”端末「HP t5730wi Internet Appliance」
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 日本ヒューレット・パッカードは2009年10月5日,Webブラウザの利用に特化したクライアントPC「HP t5730wi Internet Appliance」を発表した。いわゆる通常のPCではなく,クラウド・コンピューティングを利用する専用機として位置付ける。そのため,ディスクレスPCから画面転送型シン・クライアントの機能をそぎ落とす一方で,JavaやFlash,.NET Frameworkといったリッチ・クライアント環境(RIA)向けのミドルウエアを追加した。同日から販売を始める。

 今回発表したt5730wiは,CPUがAMD Sempron 2100+,メモリーが2Gバイトと,クライアントPCとして十分な処理能力を持つ。チップセットはATI RS690で,DirectX 9.0cの3Dグラフィックス機能を備えている。ストレージは2Gバイトのフラッシュ・メモリーを装備。OSとしては,ローカルへの書き込みを制限するEWFを有効化した組み込み向けWindowsのWindows Embedded Standardを搭載する。搭載するWebブラウザはInternet Explorer 7。

 t5730wiは,同社の「HP t5730w Thin Client」をベースに開発。t5730wと比べて,メモリーを1Gバイトから2Gバイトに増やした。従来組み込んでいなかったAdobe Flash 10,Adobe Reader 9.1,Sun Java 6.14,.NET Framework 2.0,DirectX 9.0c,OpenGLといったRIA向きのミドルウエアを追加した。その一方で,RDPやICAなど画面転送型シン・クライアント端末向けのクライアント機能を省いた。

 価格は4万8300円。同社のシン・クライアント端末に比べて割安に設定したという(t5730wは6万900円)。

 日本HPは今後,仮想デスクトップ環境(VDI)の方向性が仮想マシンによる従来OSのデスクトップ環境と,クラウド・コンピューティングによる仮想デスクトップ環境に分化すると見込む。「エンド・ツー・エンドで低コスト・高可用性を実現するナンバー1サプライヤ」(米Hewlett-Packard デスクトップソリューションズ R&DのDavid White副社長)として,シン・クライアントとリッチ・クライアントの双方に向けた製品を提供していくという。

[発表資料]