「Twitterでマーケティングはできるのか」について講演するメディアジャーナリストの津田大介氏
「Twitterでマーケティングはできるのか」について講演するメディアジャーナリストの津田大介氏
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 メディアジャーナリストの津田大介氏は2009年10月2日、翔泳社が東京都内で開催したイベント「MarkeZine Day 2009」で、「Twitterでマーケティングはできるのか」と題して講演した。津田氏はマイクロブログサービス「Twitter」自体の特徴や、自身が2年以上利用し1万4000人以上のフォロワーを持つ経験を基に「間違いなく使えるし、やるべきだ」とマーケティング活用を勧めた。

 津田氏はまず、Twitterはメディアなどで取り上げられて注目度が高まっており、日本国内のユーザー数は「有効アカウントは20万~50万人の間で、100万人弱が使っている」と推測。そして、「mixiのユーザー数は実際の利用率も考えると1000万人規模なのでその10分の1だが、キャズム(深い溝)を越えつつある」という現状認識を示した。

 そして、Twitterの特徴として「リアルタイム性」「伝播力が強い」「オープン性」「独特のゆるい空気感」「使い方の自由度が高い」「属人性が強い」の6点を挙げてそれぞれを解説した。

 リアルタイム性については、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「mixi」と対比しながら説明した。違いの一例として、「mixiとTwitterは数分か数秒の違い」と表現。書き込みへの反応は、mixiでは早ければ5分程度である一方、Twitterでは早ければ数秒後。津田氏は、「SNS(の広がり)以降、ネットのポスト(投稿)の反応は快楽が得られると意識され始めた。Twitterではそれが短いスパンでどんどんもたらされるので1日中離れられない中毒性を生んでいる」と解説した。

 伝播力の強さについては、「放送メディアに匹敵するブロードキャスト力」と、Twitterの強さを端的に解説。インターネットで数百万人に同時に情報を送ることはサーバーへの負荷の問題で難しかったが、Twitterが実現したという。

 加えて、特定のテーマのつぶやきに共通で付ける「ハッシュタグ」、ほかの人のつぶやきを自分のつぶやきとして再発信する「ReTweet」などの仕組みにより、伝播力がより強化されていると説明した。一方、デマ情報も一気に広がる可能性があることを課題として挙げた。

 津田氏はこれらの特徴から、Twitterのマーケティング活用の可能性について言及した。まず、その目的を「情報発信・PR」「ユーザーサポート」「ブランディング」の3点あると整理。その上で、ユーザーから得られるものとして、「ダイレクトでリアルタイムな反応」、「ユーザーがどこでつまづいてるのか」といったサポート的な情報、「Twitter上でブームが起きる過程」が調べられるという3点を挙げた。

 津田氏は、Twitterを「マーケティングには間違いなく使える」と断言。取り組むべき最大のポイントとして、コストが安いことを挙げた。無料でアカウントを開設でき、担当者が1人いれば情報発信できる。さらにTwitterには「ゆるい雰囲気」があるので、企業もできる範囲で取り組む“ベストエフォート”が許される環境にあるという。

 ただ、Twitterは面白い発言がフォローを集め、クチコミで広がるためサービス。「社内で面白く、トラブルに対応できる人間を捕まえてTwitterをやらせる」(津田氏)ことでいろいろなノウハウが得られるだろうとまとめた。

■関連情報
・「MarkeZine Day 2009」のWebサイト http://markezine.jp/mzday/2009/