写真1●ITコアのVPSサービス「GrowServer2010」の基盤概要
写真1●ITコアのVPSサービス「GrowServer2010」の基盤概要
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写真2●GrowServer2010で用意する仮想サーバーの仕様と料金
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 ITコアは2009年10月1日,冗長構成可能な仮想サーバーを月額1万円から利用できるVPS(Virtual Private Server)サービス「GrowServer2010」を発表した。基盤のPCサーバー/ストレージ群のネットワークを仮想化するなどの工夫で運用管理コストを低減(写真1)。初期費無料で最低契約期間1カ月といったAmazon EC2対抗できる価格設定で,専用サーバーに迫る仕様を実現する。

 GrowServer2010(GS10)では,仮想サーバーとして4モデルを用意する(写真2)。仮想CPU×1,1Gバイト・メモリー,30Gバイト・ストレージの構成となるエントリーのS1モデルは月額1万円(税抜き)。仮想CPU×4,8Gバイト・メモリー・30Gバイト・ストレージの構成となる最上位のS8モデルは月額5万円(税抜き)となる。

 仮想CPUの動作周波数は2GHz以上相当で,ストレージはミラーリングを構成する同容量のバックアップ・ストレージが標準で付属する。インターネット回線は全ユーザーで共用。2重化した1Gビット/秒の回線をサーバー公開用,1Gビット/秒の回線を管理・VPN(オプション)用にそれぞれ用意する。最低契約期間は1カ月で,申し込みから利用可能になるまでの時間は最短2営業日。

 ITコアの山田敏博社長は,GS10の価格競争力を「Amazon EC2とほぼ互角」とする。EC2では有料の負荷分散機能を標準で提供するほか,ネットワークのデータ転送量に対する課金やディスク入出力に対する従量課金がない。「CPUのマルチコア化,メモリーの低価格,InfiniBandによるネットワーク仮想化,および旧サービスでは外部に委託していた運用管理を自社運用に切り替えることで実現できた」という。

 サーバー仮想化ソフトは米VMwareの「VMware vSphere」,ストレージ仮想化ソフトは米DataCore Software Corporationの「SANsymphony/SANmelody」を使う。サーバー機は米Hewlett-Packardのラックマウント型サーバーを採用した。これに米Xsigo SystemsのI/O仮想化アプライアンス「VP780」を組み合わせることで,ラック内配線や仮想インタフェースの構成管理を簡素化している。VP780を使うと,InfiniBandスイッチとして動作し,サーバー機に装着したInfiniBandポートを複数の仮想NICや仮想iSCSIとして扱える。

 データセンター施設には,ビットアイルの第4データセンター(関連記事)を利用する。「ラック当たりの耐荷重および電源容量などファシリティの余裕を評価した」という。