マイクロソフトは2009年9月30日,東京都千代田区大手町に10月6日から開設する「マイクロソフト大手町テクノロジーセンター」を報道関係者に公開した。同センターは,大規模な設備を用意するのが難しい中小ITベンダーや大学・研究機関に検証設備を提供する「イノベーションセンター」と,大手ユーザー企業に対しIT戦略およびシステム・ライフサイクルの作成を支援する「テクノロジーセンター」の2つの組織で構成される。

 イノベーションセンターの中心となる施設は,「Server & Display Center」(写真1,2)である。ここでは約100坪の面積に,マイクロソフトのパートナー企業16社が提供したサーバー,ストレージ,ネットワーク機器などを設置する。たとえば,サーバーとワークステーションはそれぞれ300台以上を設置。利用者はこれらのハードウエア設備を使って,さまざまな環境における相互運用性や相互接続性を検証できる。サーバー・ルームの外からリモート接続して作業を実施するためのブースも設けられている(写真3)。

写真1●「Server & Display Center」のサーバー・ルーム
写真1●「Server & Display Center」のサーバー・ルーム
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写真2●「Server & Display Center」のワークステーション・ルーム
写真2●「Server & Display Center」のワークステーション・ルーム
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写真3●サーバー・ルームの外からリモート接続して作業ができるブース
写真3●サーバー・ルームの外からリモート接続して作業ができるブース
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 もう一つのテクノロジーセンターは,大手ユーザー企業のCIOや意思決定者の利用を想定したブリーフィング施設が中核となる。ユーザーが考えているシステムを事前に体験する「Solution Experience Room」や,3台のモニターを使って新旧システムの比較やデザインのレビューをする「Briefing Room」(写真4)が設置されている。

写真4●各席に3台ずつのモニターが設置された「Briefing Room」
写真4●各席に3台ずつのモニターが設置された「Briefing Room」
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 マイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏は,大手町テクノロジーセンターを開設する理由の一つとして,大手町の「地の利」を挙げる。大手町テクノロジーセンターを開設するのは千代田区大手町にある大手センタービル内。センターを構成する2組織のうち,テクノロジーセンターは今回新設したが,イノベーションセンターはこれまで東京都調布市の「調布技術センター」内に設置されていた組織を移転させた。技術支援組織を大手町に集約することにより,「首都圏の産学官連携を強化できる」(加治佐氏)という。また,「大手町は東京駅と近いので,地方自治体,地方のベンチャー企業との連携も強化できる」(同氏)。

 同センターの利用料金は無料。ただし,利用するためには,マイクロソフトまたはパートナー企業経由での申し込みが必要となる。10月から11月にかけては,予約が満杯だという。