米AT&Tは米国時間2009年9月25日,米Googleの音声通信管理サービス「Google Voice」が米連邦通信委員会(FCC)の「Internet Policy Statement(インターネット政策宣言)」に違反しているとする意見書をFCCに提出したことを明らかにした。

 FCCは通信事業者が地域キャリアへの接続を制約することを禁じている。AT&Tは,Google Voiceが一部の地域への通話発信を遮断しているとする報道を列挙した上で,Googleがこれを無視して地域キャリアとの接続にかかる支出を回避している,と主張している。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,AT&Tをはじめ,米Verizon Communications,米Qwest Communicationsなどでは,ほとんどのユーザーが定額制の長距離通話サービスを利用している。長距離通話サービスに必要な地域キャリアとの接続には多額の費用がかかり,AT&Tの場合,2007年の接続費用は2億5000万ドルにのぼったという。

 AT&Tは,Googleが「Google Voiceは従来の電話サービスとは異なるため,一般的なキャリアを対象にした規定に従う必要はない」と説明していることを詭弁だと批判。FCCに対し,Googleに特権を与えず,競合社と同じ法規に従って事業を行わせるべきだと強く要請している。

 Google Voiceを巡っては,米Appleがアプリケーション配信サービス「App Store」から排除した疑いでFCCが調査を開始し,今年7月にGoogleとAppl,そしてiPhoneの米国内独占キャリアであるAT&Tに質問状を送っている。これに対しAppleは8月に「Google Voiceは承認の検討段階であり,排除してはいない」と回答。またAT&TがApp Storeにおけるアプリケーション承認に関与してないことを明らかにした(関連記事:「排除ではなく調査中」とApple,Google VoiceのApp Store登録問題で )。

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[FCCへの書簡(PDF文書)]