情報処理学会は2009年9月18日,同会の公式サイトで鳩山由紀夫氏の寄稿「ITと選挙」と「ライブドア問題に見るメディアの将来」を公開した。情報処理学会の会誌「情報処理」の2006年1月号と2005年5月号に掲載されたもの。

 「ITと選挙」では2005年9月の選挙で民主党が惨敗した要因のひとつに自民党からブロガーへの働きかけなどインターネットの活用があったと分析し「ネットでも自民党は圧勝した」と反省の弁を述べている。米国や韓国の大統領選挙でインターネットが果たした役割を紹介。「ネットが盧武鉉大統領を作り出したといっても過言ではない」,「為政者にとって,ネットは,それをうまく使いこなせるか否かによって政治生命を大きく左右する諸刃の剣になったことは間違いない」と記している。

 また「アメリカでは大手メディアが取り上げることに躊躇した事件がブログの世界を駆け巡り,上院議員が重要な役職を解任させられたり,有名なニュース番組のアンカーマンが降板を余儀なくされたりしている」と,ブログがきっかけとなった事件を紹介,「ブログという媒体によって,新たな文化,新たなジャーナリズムが生まれつつある」との見方を示している。

 その上で,選挙期間中のWeb更新やメールマガジン発行の障壁になっている現行の公職選挙法について「日本においても,公職選挙法の改正による解禁が必要」であり「すべてのネットの選挙運動を解禁すべきと考える」と表明している。

 「ライブドア問題に見るメディアの将来」では,ライブドアによるニッポン放送買収工作に関連して「もインターネットビジネスがメディアに進出するのは,逆らえない時代の流れ」であると述べ,また「メディアに外資がもっと導入されることは競争力を高めるために必要な手術」との考えも明らかにしている。

◎関連リンク
「ITと選挙」(pdf)
「ライブドア問題に見るメディアの将来」(pdf)